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遥かなる大地へのtkのレビュー・感想・評価

遥かなる大地へ(1992年製作の映画)
4.0
ちょっと見始めたら、最後まで観ていた。
92年公開。
130年前のアメリカ開拓期の映画というと地味だが、トムとニコールの素晴らしいカップルが飽きさせないし、普遍的なお話。
トム・クルーズという俳優がこの時すでに、ここまで完成していたのかと驚く。
ジャック・リーチャーで魅せた肉体美。
チャーミングな笑顔。
洗練されてないワイルドさにも品がある。
彫刻のような均整の取れた相貌。
ロミジュリ的ロードムービーだが、その波乱に満ちた冒険は悲劇ではなく、むしろ希望に溢れていて輝かしい。
田舎の良家の窮屈さから、抜け出さんとする娘。搾取される小作人の息子。
高慢と偏見を持ちながらも、それぞれの違いをぶつけ合いながら乗り越える日々。
シャノンのパパが何ともいいんだよなぁ。
主人公のジョセフという名前もあるが、
アイルランド流ボクシングとかジョジョっぽさを節々に感じ取れる趣きや良し。
荒木先生、絶対に好きだなこの映画。
圧巻は馬の大陸レースによる土地争奪戦。
これこそSBRで描かれたフロンティアスピリットの荒々しさと美しさではないか。
開始早々に落馬する者、幌馬車が転倒し、荷車は外れ、野生の丘陵に翻弄される挑戦者たち。
しかし!
そんな困難もどこか前向きに描かれるのである!
「このレースに失敗なんか存在しないッ!
存在するのは冒険者だけだッ!」
とでもいうかのように、遥かなる大地への確かな希望を胸に前へ進む者たち。
泣かせるじゃねえか。
エンヤのテーマも神々しい。
閉塞感を感じる日常に、爽やかな風を運んでくれる、希望の火が胸に灯る良作。
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