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大仏さまと子供たちのBBのレビュー・感想・評価

大仏さまと子供たち(1952年製作の映画)
5.0
原っぱ(三笠山)で豊太がわっと泣く、カメラは引きのショットにさっとなる。すべての流れが見事でございました。

つくづく、何をみせるかよりも何をみせないかだと思う。撮影は。そして、みてないようで周りの大人はみてるもんだ。子供たち同志もそう。

本作の舞台は戦災をまぬがれて残った古都・奈良の各寺院。戦後5.6年経って、本作と同じ頃には大佛次郎原作の「宗方姉妹」や「帰郷」も映画化されている(本作で子供らが読んでいるのも「鞍馬天狗」)。大佛次郎も、戦後の焼け野原と対比して、苔寺や金閣寺、円覚寺の境内を事細かに綴り、登場人物たちにしみじみとその有り難みを口にさせている。

「門前の小僧習わぬ経を読む」式で、器用に大仏様のガイドをかわるがわるつとめる子供たちのスタンスが良い。環境にいるうち次第になじみ、メモを取るうちに覚える。覚えてゆくうちに大仏そのものにも愛着がわき、畏怖を抱く。そういう子らが一番大仏のことをつぶさにみていて、大仏からも見守られている。

ところで映画に関しても、大仏同様。誰に習ったわけでなし、次第になじみ覚え、通う人たちの行動が、この映画の子供たちと同じな気がする。ハシゴする合間に用事を済ますところなんかも一緒よ。今日は友達と観に行って良かった。阿佐ヶ谷で、帰りに食べたたこ焼きが美味かった。お店の人が間違えて注いじゃったビールも一杯ご馳走になったしね。
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