石油で財を成しつつも、孤独にならざるをえなかった主人公ダニエルを通して、「人間の欲深さ」や「真の人間性」を鋭く描いた傑作。
主人公を演じたダニエル・デイ=ルイスの怪演が魅力的。ヨダレを垂らしているのも気付かないほど観入ってしまった。
同時に、アメリカ西部の息づかいを肌で感じられる程の映像美も素晴らしい。
爆発事故の圧倒的な迫力は、見事としか言いようがない…。
全編を彩る不協和音もこれまた良く出来ている。
「何か起こる」緊張感が終始漂っていて、本作の完成度をより高いものに押し上げている。
脚本も上手いこと上手いこと。
とてもパワフルでエネルギーに満ち満ちていた。
2時間30分があっという間な、非常に濃密な作品。
……イエスの洗礼の「血」、彼の周りで流れた「血」、血族としての「血」。そして石油という地球の「血」…
『There will be blood』
『いずれ「血」に染まるだろう』……