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ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのユーザーネームのレビュー・感想・評価

5.0
成功する事を、とりつかれたかのように求める人間の一生を描いた映画であり、その迫力は圧倒的である。それと同時に主人公が持つ空虚さを描きつつ滑稽で笑える部分もあり深みのある重厚な作品となっている。

もちろんその主人公を演じたダニエルデイルイスの名演は言わずもがな。ダニエルデイルイスのインタビューを見るとこの映画のダニエルと全く違う喋り方と見た目なのでつくづく彼の才能には驚かされる。この主人公は、今まで映画で観たキャラクターの中で最も興味深く、彼は決して褒められた人物では無いのだが、自分のブラザーだと自称する男との会話では人間的な部分を見せたりするキャラクターになっているのが素晴らしい。喋り方というか英語のアクセントの癖が強く歩き方も特徴的なのでなんか真似したくなる。このキャラクターにフォーカスを当てた映画なので、お話としての面白さと言うのは少ない。このキャラクターを興味深いと思えないと、正直退屈だと感じてしまう人がいるかも。ただ人間の一生をここまで突き放しながらかつ人間的に描いた作品はないと思います。資本主義や宗教を批評しながら説教臭く無いというか、あくまで映画を構成する要素にとどまっているところが良い。


この映画のストーリーは簡単に言うと
「ビジネスが宗教の男」vs
「宗教がビジネスの男」の話です。
そしてこの二人の対決は終盤、ボーリング場でピークを迎えます。このボーリング場でのクライマックスでは全てのセリフ、両者の演技、ダニエルの鬼の形相 がとにかく素晴らしいし 、「終わった」というセリフで幕を引く言語表現不可能なインパクトを与えるエンディングは僕が最も好きな映画の名シーンの一つです。

他にも名シーンは多く、オープニングの原始的な雰囲気 そして棒についた石油を手に塗りたくり天に掲げるポーズをする主人公 そこから全てが始まったかのように泣き喚く赤ん坊。

中盤の見せ場として出てくる火柱がたつシーンで流れる火柱とその周りの人間の心臓の鼓動を思わせる音楽 その火柱に取り憑かれたかのような石油まみれのダニエルの顔がアップになる場面。

など好きな所を挙げるとキリがない 本当に凄まじい驚異的パワーを持った作品だと思います

追記

最近ではカニエウエストが一番好きな映画の一つにあげていた名作

最後十分ぐらいは本当にすごい
「I'd like to tell me that you are and have been a false prophets and god is superstition 」ってダニエルがいって そのあとにポールダノが いやーでもそれ嘘だから言えないわ って言った時のダニエルの表情ヤバすぎる。

2023/1/25
ついに映画館で観た もう公開から15年以上たつ作品なのに 満席だった イギリスのprince Charles cinema で見たのだが、コメディ映画かっていうぐらい各所で笑いがもれてた。