COZY922

ボビー・フィッシャーを探してのCOZY922のレビュー・感想・評価

3.8
ボビー・フィッシャーを彷彿とさせる天才チェス少年ジョシュのお話。と言っても、サクセスストーリーが話の中心ではなく親子の関わりや少年の心の移ろいに重きを置いたドラマです。勝負に負けられない立場になることへの恐怖、遊びだったはずのチェスが義務化していくことへの戸惑い、論理優先か自分の感性優先か2つの戦法の間で揺れる気持ち、挫折と成長。ジョシュを通じて描かれることは人生で誰もがぶつかり得る問題。こう書くと重たい話のようですが、7歳の少年のピュアな視点から描いているせいか、全体的にきれいでライトな空気感で重苦しさはありません。才能を伸ばしてやりたい気持ちゆえに行き過ぎてしまう父親と無償の愛情を注ぐ母親、自分が果たせなかった夢を子供に投影する大人の姿なども考えさせられました。大人は子供を型にはめようとしたり、やり方を押し付けたりしがちだけど、それが才能を潰すこともある。大人から学ぶことも多いと思うけれど、少なくとも子供のうちは好きなことを好きなようにやらせるのが一番ってことかな。主役の男の子のクリクリした目が、単に可愛いというだけでなく、揺れる気持ちや不安が伝わるまなざしで印象に残ります。
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