どうしても「男はつらいよ」と比較してしまうのは、同時上映だったし、ある意味仕方のないこと、運命だ。
さて、今作品からシリーズ化した「釣りバカ」だけど、寅さんシリーズでいうマドンナ的存在が登場することになる。とは言え、主人公のハマちゃんスーさんにはちゃんと奥さんがいるし、恋愛要素がないのがいい。
そこへいくと寅さんは独身だったし、たとえ相手が人妻だろうと子持ちであろうとほのかな恋心(いや下心)を抱かないはずがない。寅さんがいかにして失恋するかがストーリーの根幹なのだからそれはそれでいいのだけど、シリーズ後半になってくると寅さんがキューピットになってばかりで、最初から諦めムードが漂っているのが見ていて辛い。その点「釣りバカ」は安心だ。ハマちゃんは度を越した愛妻家だし、例の「合体！」も名物シーンとなった。
その代わり、かどうかは知らないが、マドンナ役の原田美枝子の素性についての描写が少々物足りない。全体としては面白いからいいんですけどね。
