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真昼の決闘のparkoldiesのレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
3.9
「西部劇嫌いの為の西部劇」

"西部劇論"という本でも町山さんの解説でも言ってたけど、これは西部劇嫌いの為の西部劇で、ジョン・ウェインが激怒したと言われている保安官バッジを捨てるラストシーンや、プロの保安官にもかかわらず一般市民に助けを求める姿、誰も助けてくれない絶望的な状況、背後から敵を撃つ花嫁(グレース・ケリー)など、本来の西部劇とは一線を画する作品のようだ。それが当時吹き荒れた赤狩りを意識していたという点も興味深い。

じいさんになってもカッコいいゲーリー・クーパー。この時50歳そこそこだけど貫禄がすごい。60歳で亡くなっているので、この作品は彼のフィルモグラフィでは晩年の作品にあたるのだろうか。やはりスターという言葉が似合う俳優。にしても当時20そこそこのグレース・ケリーと結婚というのは少し無理があるのでは?と感じてしまう。相手役はクーパーとの不倫で一大スキャンダルになったパトリシア・ニールでも良かったんじゃないだろうか。ニールは『ハッド』でも西部劇に出演しているし(アカデミー主演女優賞獲得)そっちの版も観てみたい。腰痛でスターの座から遠ざかっていたとは、本人にはたまったものじゃないだろうけど、クーパーの意外な一面でちょっと可愛らしい。
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