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真昼の決闘の9oo9leのレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
3.0
ゲーリー・クーパー主演による西部劇。
人望の厚い保安官が、街に舞い戻ってきた凶悪犯と対峙するドラマ。
とはいえ、対峙するのは凶悪犯とではなく、凶悪犯の影響を受けに受けた市民たちとの対峙だった。
孤軍奮闘せざるを得なくなった保安官の取る道は…

というストーリーが、一般的な西部劇ものから異彩を放っているというのかどうかも知識不足でわからないのですが、人間心理という点に重きを置いた作品だったのは理解できた。

絶対悪 vs 一般市民 vs ヒーロー という図式は、「ダークナイト(ライジングじゃない方)」を少し思い出した。
町人たちの憶測や見解で悪人のキャラ作りや背景が徐々に完成されていく手法は当時としても斬新だっただろう。
なぜなら、本当の親玉が登場してくるのは終劇の10分前ぐらい。
そこまではひたすら何も悪事を働かず、ボスの到着を駅で延々と待ち続ける3人の手下がたまに映るぐらい。
この作品で最も大事だったのは、「無関心の暴力」という点だろう。
「殺されるのは保安官だけ」という暗黙の結論が存在することによって、町の人たちはおろか、副保安官といった役職の人間たちですら他人事を決め込む。
さらには、「あんたが街を出れば、それで丸く治まる」という助言も。

実際の社会に出ると、この人間心理が「正常」になってしまっているのは、何も公開当時の1952年にかぎったことではない。
この映画は、正義と悪のストーリーではない。
忠義と信条、個と集の命題に一石を投じた作品である。
これが今から60年以上も前に作られていることが、全てを表していると思う。

書いてて、よくわからなくなってしまったけど、若き日のリー・ヴァン・クリフが印象的だった。
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