しんちゃん

日本沈没のしんちゃんのレビュー・感想・評価

日本沈没(1973年製作の映画)
3.5
小松左京原作の近未来SFの映画化。CGがまだ使えない時代、いわゆる特撮だけでこれだけのスペクタクルを作り上げた撮影陣は尊敬に値します。実写と特撮がうまく組み合わされていました。爆発音などは少し怪獣映画チックでしたが・・・😅
前半の深海探査シーンの静かなスリルから一転した大地震のパニックスペクタクル、さらに日本民族の海外大移転に向けた国際ポリティクスへ、ストーリー展開はさすが橋本忍脚本の素晴らしさ!
映画的には藤岡弘、といしだあゆみの恋愛ストーリーは余分な気がしました。

50年前のこの映画以降、私たちは阪神淡路大震災、東日本大震災を経験し、大災害を我がことと感じられるようになりました。また海外に目を向けるとユダヤ人やパレスチナ民族、シリア難民など国土を失い世界中を彷徨う人々の存在も知っています。最近ではウクライナからの避難民の問題もあります。
それだけにこの映画の提示する課題、自然災害への備え、地震予知など科学技術への予算配分の少なさ、難民受け入れ問題などがより現実感を強くしているように思います。
また、日本列島だけに閉じこもって内弁慶の日本人が果たして難民となっても世界の中で存在感を示していけるのだろうか?と劇中、小林桂樹演じる田所教授が憂慮するシーンがありますが、近年その杞憂は現実になってきています。
まさに世界の中で日本の地盤沈下が進んだ昨今、「沈没」してしまう前になんとかしなくては!との思いに耽ってしまいます。
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