キューブ

エイリアンのキューブのレビュー・感想・評価

エイリアン(1979年製作の映画)
4.0
 あのシュールリアリズムの巨匠ギーガーが造形を担当したというエイリアンの姿はまさに恐怖をの物を視覚化した物であり、身の毛もよだつグロテスクさと曲線美の美しさを兼ね備えている。こういってはあれだが、この映画のテーマはこのエイリアンがすべてを語っている。「暴力による支配」だ。得体の知れない物(今では色々判明しているが)であるこの地球外生命体は生存本能の塊であり、純然なる殺意しか持ち合わせていない。作中で語られるとおりまさに「完璧」で「ためらいを持たない」究極の生物なのだ。
 ストーリーとしては初めは地味な役どころのリプリーがいつの間にか最後の一人になってどうにかしてエイリアンを倒すのが見所である。だが当時はどうだったか知らないが、今見るとエイリアンはそんなに動くわけでもなく恐怖の演出方法はきわめて古典的な「陰から出てきて驚かす」という手法に頼っていて(僕はコレに引っかかるのだが)、言うほどは恐怖をあおられない。むしろアンドロイドであった科学者がリプリーを殺そうとするシーンの方が恐怖感を煽られた。このシーンでは(よく言われていることだが)圧倒的な力で女性を支配しようとする男性という構図を端的に表していて、エイリアンと違って瞬殺するわけでもないので、この映画の隠れたテーマに合っていると言えるだろう。
(11年5月31日 BS 4点)
キューブ

キューブ