tabi

ゴーストワールドのtabiのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
4.0
とにかく絵の作り方が良い。好き。属性は色々とあれど、マジョリティに帰属意識を持てなかった人について否定も進歩主義的な説教もしない。多くの映画が困難やトラブルを乗り越えて社会に馴染み、自身の欠点や過失をマイナスのものとして受容していく行程を描くのに対して、この作品ではイーニドは変われないし変わるつもりもない。
それでも取り巻く環境は動き続けているから、それまで当然だと思っていた人の優しさや機会も失っていく。
起きている事象は仕事も恋愛も友情も手放していく話ばかりだけれど、どこか舞台セットのような世界観で描かれているのと、イーニド自身がそれを選択している節もあるから、悲惨さはあまりなく、孤高ともとれる。
今だと身の回りの環境に馴染めなくてもSNSで連帯し共振することが出来るのだろうけど、まだインターネットも普及していなかった当時は、この映画を観て共感したり安心したりと居場所を見出した人も多かったんだろうなと思う。
振り返って当時の自分がどういう面持ちでこの映画を観ていたのかは思い出せないけれど、きっと潜在的にでも世間と違う自分の価値観に喜びを感じていたのだろうと思う。
tabi

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