ゴーストワールドの作品情報・感想・評価

「ゴーストワールド」に投稿された感想・評価

新田畳

新田畳の感想・評価

5.0
進学せずとも、気の向くままに生きていけると思っていた。

いつも一緒にいる親友も、道端で何日間も野ざらしにされたままのジーパンも、廃線になったバスを毎日待ち続ける痴呆老人も、ずっと同じ世界にいてくれるはずだった。

誰かにとっての良いもの、誰かにとっての悪いもの、お互いを無視し交差しながら時と共に移ろいゆく。
別に何かが欲しいわけじゃない。
ただその変化に馴染めない自分がいるだけだ。

明日も明後日も明々後日も"同じ今日"が来なかった時に、昨日という時間を「青春」と名付けるぐらいの事しか自分たちにはできないのだろうか。
ふとイーニドとレベッカのコンビに会いたくなって、なんとなく再生。彼女らのまるで猫がじゃれているような日々が最高で、やっぱりいつ見ても羨ましい。
'50sダイナーもどきで働くブキミ君やコンビニで働く友人のジョシュ。街角で廃線になったバスを待ち続けるお爺ちゃん。
スティーブ・ブシェミのレコードオタクっぷりもまったく違和感なくて、ずっと彼らの行動やファッションだけを追いかけていたい。

とは言いつつ、ストーリーはかなりグッとくるものがあって。卒業後に疎遠になっていく友人や、つまらないことでズレが生じたり、自分以外のみんなが将来に向かって動き出している(ように感じる)時の寄る辺なさとか。
周りがつまらない人間だらけに見える一方、自身の空っぽのプライドは慰めてくれず、結局表に出るのは反抗的な態度ばかり。
イーニドとレベッカの表情の変化はモラトリアム特有のモヤモヤそのもので、この時代、瞬間にしか撮れなかった彼女たちの姿が愛おしい。
たまに見返すと普段は開けることのない蓋が開いて、封印していたもの、忘れていたもの、大事にしていたものが次々と飛び出してくる。
ゴーストワールドってのは空っぽになった街のことなんだろうな。
何気ないけど街の描写もとても好み。

余談
デイブ・シェリダンのコンビニでの格闘シーンは強烈で忘れ難いのだが、DVD特典ではたっぷり2パターンも収録されているので必見。
ksnmai

ksnmaiの感想・評価

5.0
一番と言い切れる。
イーニドは自分のようで見ていて嬉しくも寂しくもある。
普通じゃ嫌、大人になりたくない。
でもどうしても大人にならなければいけないのかなと自覚させられる環境、時間は経ち続けて楽しかったあの頃に戻れないと自覚させられる。

卒業パーティーのシーンが大好き。
ダサすぎていい。って言葉のニュアンスはすごく共感する。
イーニドとレベッカで手を繋いで揺らいでる後ろ姿。おそらく地味目で目立たない男子が一人で周りを見ながらケーキを食べるシーン。泣きそうになる。この時のイーニドの気持ちがすごくわかる。

どんな時でも見たくなる映画だけど、やっぱり少しダウナーな時に見たい。
気づいたらこの世界観を求めてしまう。
自分にとってしおりのような映画。

細かなシュールさや、小物、ファッション、言葉のチョイス、間、空間、ワードセンスが最高。オープニングから笑ってしまう。

自己紹介とともにこの映画を見せたいくらい。
この世界観はずっと大好きだ
イーニドに憧れて高校の卒業式の前日に髪を緑に染めたなぁ。
けっこうすき。

ソーラバーチというひとよかった。

素直になれないんだけど、愛情はまっすぐなんだよな、

媚びないで、軽いノリで生きていたくないのに、現実はうまくいかなくて。


追記
観て数日経ったけど、なんかあの生きている雰囲気に励まされている自分がいる。映画全体のトーンとか。また観たいな。

ブシェミじわっといい役者だなー
honoka

honokaの感想・評価

4.0
何回も観たくなる皮肉たっぷりの気怠いこの感じ
ラストのバスのシーンはいろんな解釈があるようだけど、どうか彼女の希望ある出発でありますように.....
メメ

メメの感想・評価

4.1
どうしても世間に迎合できない。だって世間はクソだから。
みんなが好きなものを好きになれない。だってみんなダサいから、ダサい、お前もお前も、ダサい!
って世の中に反発するきもちもすごいわかるし、どうしてみんなが当たり前にできてることすら、わたしだけうまくできないの、って悲しくなっちゃうきもちもすごいわかる。
イーニドのきもちがわかりすぎて、あれ、これあたしか、、?て途中からなってた。思い当たる節がありすぎた。

ファッションとか音楽がいいのはもちろん、わたしの愛するブシェミちゃんがわたしの好きそうな冴えない音楽バカの男を演じてて良かった、わたしだったら余裕でブシェミちゃんと同居するのを選ぶ。

きみを迎えに来るバスが、いつかきっとやって来る。カラフルな服を着なくても、髪の毛を緑に染めなくても、ちゃんと自分でいられるときが来るから、大丈夫。
ソーラバーチもスカヨハも可愛くてだいすき。
Mypage

Mypageの感想・評価

4.2
いい去り方。

傷ついたり、傷つけたりするのは当たり前なんだな。うすうす気づいてたけど、やっぱり。

おじいさんがバスの乗っていくのを見てるイーニダの顔、最オブ高
おゆき

おゆきの感想・評価

4.0
え、なにこれ、めちゃくちゃ好き‥

60年代?のインド映画音楽が非常に合ってる、不思議な世界観。痛々しいながらも、イーニドが抱える絶望や不満にどこか共感してしまう。どこへ行くのかな。好き
kaede

kaedeの感想・評価

3.5
あのイタい感じとか、斜めに構えて人をバカにした感じとか、あるよね〜〜ってなりつつも若さ特有の強さだなってしみじみ。上手く描かれててよかったなぁ。若かりしスカヨハ、美人でハスキーボイスたまらなかった。
あとブシェミほんと冴えなくて愛しいな。笑

このレビューはネタバレを含みます

明るい街と雰囲気でこの映画は始まる。楽しくて洒落た映画なのかと最初は思った。

親友のレベッカとイーニドは、基本周りの人達を小馬鹿にして日常を過ごしている。それが実際、見ていて面白い。しかし、そんな気楽に無責任に生きていられるのも時間のうち。社会に出ると自立や責任などといったものがまとわり付き、時には自分を押し殺すことが必要な、新たな生き方を迫られる。物語は、2人のそんな子供と大人の変わり目から始まる。
レベッカはそんな大人の世界に順応していくのだが、イーニドはとことん重症で、自分は他とは違うという自意識からなかなか社会に馴染めず。その上、彼女からするとずっと一緒だと思っていたレベッカが大人の世界に適応していくことで、どんどん離れていくように感じてしまう。そんな折だからこそ、最初はバカにするつもりで絡んでいったおじさんに彼女は興味を持ち始め、次第に惹かれていく。社会にあまり馴染めていない彼に彼女はシンパシーを感じたからだ。イーニドは彼に、自尊心からか相変わらず小バカにするような態度を示しながらも、自分が感じる孤独を紛らわそうと彼に積極的に近づいて、次第に彼に依存する形に近い状態にまでなってしまう。しかし、そんな彼も彼女が出来て、イーニドにつきっきりでいることも出来なくなる。そこでまた彼女は孤独を感じていくのだ。。
それが見ていて痛くて辛いのだが、この映画、面白いのがこれを可笑しく描いているところ。冒頭からコメディチックでポップにテンポ良く話が進むのだが、見ているうちに段々と彼女は追い詰められていく。

ラスト。ゴーストワールド。直訳すると幽霊の世界。多分、彼女は最後、彼女が望んでいたように、なにも告げずにどこか遠い場所に行ったのだろう。確かにこの世界には存在しているが、社会の一員としては消えていくのだろう。だから、幽霊。でも、決して暗い未来が待ち受けているとは限らない。この映画の中で唯一描かれている夜の街でラストは終わる。夜が明けるように朝は来るのだと信じたい。
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