ナンデヤネン

サラの鍵のナンデヤネンのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
3.8
自宅にフランス警察が押しかけてきた時、納戸に弟を隠して鍵をかけるサラ。サラと両親は屋内競輪場に連行される。トイレを使うことも許されず観覧席は糞尿だらけ。悪臭漂う劣悪な環境。いつ帰宅できるか分からない。弟を家に置いてけぼりにしてしまったサラは焦り、両親はサラを責めたてる。親とはいえ、そこまでサラを責めることはないの?ってサラを気の毒に思う。
現在と過去が交錯する。赤の他人のジュリアとサラが67年の長い年月をかけて徐々に繋がっていく。回想形式というよりも別物のドラマが2つ同時に始まったような感じ。現在と過去の切り替わりがタイミング良くとてもスムーズ。頭が混乱することはなかった。よく出来たシナリオ構成だなと思った。
しかし、パートナーであるベルトラン家が持っているアパートの部屋にどうに関与しているかということが焦点なのでサラは直接関係ない。その意味では視聴者に投げかけるインパクトは他のホロコート作品と比べて弱いと言える。
また、自分のせいで弟を死なせてしまったサラはその後どういう人生を送ったのか詳しく描いて欲しかった。老夫婦に引き取られた後は心を病んでしまったのか無表情でセリフもなく、その時々の彼女の心情が伝わってこなかったのは残念。サラをもっとクローズアップすればホロコーストの悲壮感がもっと伝わっただろうに。
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