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ピーター・セラーズの愛し方 〜ライフ・イズ・コメディ!のMyonのレビュー・感想・評価

3.0
劇中劇というか、ジェフリー演じるピーターが色々な人物になりきるという演出が多い。ピーターの役者としての才能や「本当の自分がない」という彼の性質を表していて最初は面白い。演技とは何かを考えさせられるし。ただ、第四の壁も破りすぎるとちょっとくどい。

熱心なファンじゃない人間にとっては終盤までは彼が愛すべき嫌な奴ではなく、ただの嫌な奴にしか感じられず。伝記映画としてそれはどうなんだろう。彼の難しい性質を表現するのにはそれくらいしないと駄目なのかもしれないけど、もっとコミカルで笑い溢れる展開を想像していたのでびっくり。満足を知らない男がその先に見た空虚がとても切なくて、後半のシーンはとても印象的ではあるのだが。

ジェフリー・ラッシュは(喜劇)俳優の子供のような無邪気さとその下にある歪みをイライラするくらい見事に演じ分けていた。
いつまでもピーターから母親にするように依存される、胸中複雑な元妻を演じたエミリー・ワトソンも巧いとしかいいようがない。
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