HirokiMusya

すべて彼女のために/ラスト3デイズのHirokiMusyaのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ひとことで言ってしまえば冤罪で懲役20年の有罪判決を受けた妻を脱獄させる話なのだがとても重い内容だった。

幼い子どもと残された夫の気持ちを考えると辛すぎて終始、胸を締め付けられるような思いだった。
幸せな家庭なのになぜ?
どうして自分がこんな目に?
面会に行っても子どもは母に対してよそよそしくて…
そんなの見せられたらキツい。

感情移入しすぎたせいかわからないけど緊張感が半端なかった。
話自体の推進力もあって先が気になる展開だしダラダラするわけでもなく、100分を切る短さでテンポも良い。

脱獄させるしかないと言う結論に至る過程はいささか突飛な気もするが彼の心情を察すればそこまで思い詰めるのもわからないでもない。
病院からの脱獄シーンはマジでハラハラした。
その後終わるまでどうか捕まらないでくれと願った。
最終的に彼らは国外逃亡に成功するわけだが個人的にはこれがハッピーエンドだとはまったく思わない。
妻のために殺人まで犯してしまった夫。
病気と冤罪、そして逃亡の過去を背負って生きていかなければならない妻。
急激な環境の変化を余儀無くされ、幼少期を母なしで過ごし、なれない土地でうしろめたい気持ちをもった両親と暮らしていかなければならない息子。

この家族には暗雲が立ち込めているし
映画のラストでも脱獄はその後が難しいと語られて終わる。
それでも逃げ切って終わってくれてよかった。
捕まって終わられた日には胸くそ悪さ120%だし…

もう二度ともとの無邪気な家族には戻れないんだなぁと思うとなんとも辛い、だけど映画としては素晴らしい作品だった
HirokiMusya

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