naomi

チャンプのnaomiのネタバレレビュー・内容・結末

チャンプ(1979年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

晩年のボクサーがひょんなことをきっかけに、再びカムバック。チャンピオンに返り咲くまでを描いた物語。
かと思ったら、違いました。家族の物語でした。

主人公は、妻と離婚し、試合にも敗れ、今ではギャンブルに溺れるダメな男に。
それでも、ギャンブルで大勝ちした日には、息子に馬をプレゼント。終始一貫して息子への愛がブレなかったから、どれだけ弱くて情けない男でも感情移入してみることができた。

馬をあげたことが一つのきっかけとなり、競馬場へ。
馬は転倒してしまってレースは散々だが、元妻と偶然にも再会する。

ここから、妻も巻き込んだ第二幕が展開される。

妻は再婚しており、息子は「もう母は死んだ」と説明されていた。
息子なのに息子として接することができない、そんな葛藤を抱く。
主人公もまた、母の元へ行った方がきっと幸せになるであろう息子の行く末を案じて、葛藤する。

ミッドポイントは、絶好調ではなく絶不調のパターン。
妻とも息子の件で分かり合えず、ギャンブルに負けて馬を取られそうになり、主人公は暴れて留置場に入れられ、息子に「アニーの元へ行け」と別れを告げる。

全てを失った主人公は、それでも息子と再会する。
息子が、父を選んだが、二人はより強い絆で結ばれる。

どん底にいた主人公だったが、息子への愛を正直に息子へ打ち明け、妻にもまた「やり直したい」と言った。結果として断られるが、ずっとモヤモヤしてギャンブルに逃げ続けていた主人公にとって、正直に言うということが何より大切だったのだろう(一つの成長)。
吹っ切れた主人公はカムバックを果たす。
ここから試合へいく展開自体は、王道であるが、最後に命を落としてしまったのはあまりにも辛かった。

あとは、子役がうますぎた。本当に素晴らしい。

前半を引っ張って行く物語の吸引力が、そこまでないような感じがしたので、やはり”きっかけ”と”第二幕への進む”ポイントは明確にあった方がいいのだなとは思った。ボクシングするかなーというミスリードが逆に前半の物足りなさを募らせた気が。

でも、素敵でした。
naomi

naomi