あいお

ジャックのあいおのネタバレレビュー・内容・結末

ジャック(1996年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ロビン・ウィリアムズ演じる、成長が人の4倍で心は10歳、見た目は40歳の小学生「ジャック」の物語。


子供の心を持った大人というキャラクターでは、映画「ビッグ」である日突然大人の体になってしまったトム・ハンクスが有名だろう。
ロビン・ウィリアムズの10歳児の演技は、なんていうか、自然で、でも違和感があって、明るくて、でもどこか悲しそうで、、

ロビンが初めて登場するのは、ジャックが家の中で転んでしまって泣いてしまうが、その直後に家庭教師に介抱されてくすぐったいとわめいた挙句、家庭教師のズボンを脱がせて爆笑するという場面である。

この2分にも満たないシーンで、
ジャックがいかに普通の、明るくて無邪気な子供であるかを理解することができる

ロビンのその若々しくて幼い演技と隠そうとしないその腕毛のおかげで、「心は10歳、見た目は40歳」という違和感を自然と受け入れられる。

この作品で大事なのは、ジャックが、自分は本当は同級生とは同じように成長できない、と理解しているところだ。

抜けていく髪の毛を眺めたり、増えていく顔のシワを気にしたりと、次第に老いをプラスに考えていけなくなる。

個人的に印象的なシーンがある。ジャックは、担任の先生をダンスに誘い、やんわり断られてしまう。
こんな失敗は、小学生の男の子にとっては珍しいことではない。ただ先生に告白して、断られてしまっただけだ。
しかしこのシーンの直前にはこんな場面が描かれている。将来の夢について作文を書く宿題で、ジャックがプリントの端に将来の自分の年齢を4倍して計算するのである。ジャックはその計算の答えを見て、何を思ったのだろうか。

家庭教師はジャックの元を去りながら言った。「お前は流れ星だ。特別だが、普通の星にはなれない。」
ジャックが泣きながら「普通の星になりたい。」と答える。

最後のシーンは、18歳のみんなと、すっかりおじいさんになってしまったジャックの卒業式である。やっぱりジャックは、人の1/4しか生きられないんだな、と思うと悲しくもあったが、ジャックのスピーチで、彼が短い人生を輝かせることができた、とわかり、嬉しくなった。
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