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愛のむきだしのGONのレビュー・感想・評価

愛のむきだし(2008年製作の映画)
4.2
変態、友情、家族、信仰、崩壊、兄弟、愛…

濃い。濃い4時間。長ぇけどすぐ終わる。
最初の1時間はおっそろしい程の超ハイテンポでストーリーが進むから「これ4時間持つのか?」って不安になりながら見てたけど、映画開始から1時間経ってからタイトルがドンッ!って出てきたので今までのは序章だったわけか…と察した。
そして残りの3時間でキャラの内情や相関図、映画のジャンルが目まぐるしく変わっていく。個人的に去年オスカー獲ったパラサイトと似てるな〜と思った。あの作品も場面場面によってジャンルが激しく変わっていく特殊な映画だったからよく覚えてる。そしてそういう映画は脚本がよく出来てないと成り立たないから大抵面白い。
更にこの映画はタイトルの意味も最初と最後で全く違う。最初はただの『”変態な”愛のむきだし』だけど、見終わった後にこのタイトルを読むとなんとも形容し難い美しい意味に思えてくる。この感覚は見た人にした分からないだろう!

そして話変わるけどこの映画、ジャケットデザインから見てわかる通りB級です。けどそのB級を”ワザと”演じてる。タランティーノみたいに。血が過剰に出るし、刀ぶん回すし、衣装もセットも安っぽいんだけど(園子温はひょっとして日本大好きタランティーノから逆輸入した?)、所々にビシッとキマッたセリフやショットを入れてくるから完全なB級とは全く違う雰囲気を出してる。そこが凄い。代表的なのは浜辺で満島ひかりが第13章を絶叫するシーンだけど、あれ撮影前園子温の演出で満島ひかりは自我が崩壊するくらい罵倒されたそう… カンペがあったかどうかは知らないけど、日本映画史に残るワンシーンであることは間違いない。

展開が二転三転するにもかかわらず一貫して突き通す”愛”というテーマ。
伏線回収も実に巧みで、感情をむき出しにした役者達の覇気に圧倒される心震える4時間。
泣いたと言ってる人は殆ど見かけないけど、僕は泣くほど感動したぞ。
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