たけちゃん

少年と自転車のたけちゃんのレビュー・感想・評価

少年と自転車(2011年製作の映画)
4.1
母親が亡くなり、父親に育てられていた10歳の息子が突然施設に入れられます。何もわからず世界にポツンと置き去りにされた少年。だが、縁あって美容室の女性が週末だけ里親になるのですが・・

ベルギーで社会派のドキュメンタリーを製作していたダルデンヌ兄弟、日常の何気ない生活を切り取ってつなげた映画が特徴でスライス・オブ・ライフという形式らしいです。なので、過剰な演出はありません。音楽も最小限です。逆を言えば感動ポルノ・ポリコレなどがなく純粋性がありますが、行間も大きく、説明が最小限です。例えば、この少年、かなりいらっとするのですが、美容師の女性がなぜ受け入れ、これほどまで優しいのか?その背景もほとんど描かれていません。その為、どうしてだろうと自ら想像し考えなくてはなりません。その反面、心を突き刺すような映像も多く、少年が水を出しっぱなしにする映像は見事に少年の心と体の分離を表しています。
そして最後の終わり方もやっぱり日常の断片を切り取っただけで、また明日も変わらず日常が続いていくんだなと思わせる感じが、なんともいいのです。


注意1:ダルデンヌ兄弟は、これまで音楽を使ってなかったが、この映画では最小限音楽を取り入れています。