少年と自転車の作品情報・感想・評価・動画配信

「少年と自転車」に投稿された感想・評価

iihoshi

iihoshiの感想・評価

3.1
施設に預けられた少年シリルと、彼の週末里親になったサマンサ。

父親が迎えに来ない事実を受け入れられない焦りからの反抗。
唯一信頼している父親からの拒絶。

こういう子に必要なのって、恐らく、自分を信頼して待っていてくれる人、いつでも帰れる場所を用意してくれる(=サマンサのような)人なんだろうけど、
どうしても人間って、自分を必要としてくれる人に傾きがち。ウェスみたいに悪意のある場合でも。

(やはりフランス映画が少々苦手なので)静かな描写、その割に冗長な会話、突然切り替わる映像などしっくり来なかった。
けど、全然音楽が挿入されないのに、印象的なジングル(ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番らしい)が数ヶ所だけ流れる場面は、
途轍もなく感情を揺さぶられるというか、思わず感嘆のため息が漏れてしまった。
そう来るか。

恋人に、シリルと自分どっちを選ぶんだって言われてシリルと答えたサマンサ。
あれはシリルを選んだわけじゃないんだよ多分。
あそこでシリルって答えなければ、シリルが完全に壊れてしまうなって理解していたから…。
なんで里親を承諾したのか聞かれて、あなたが頼んだからと答えたのも同様?
サマンサの包容力・受容力はどこから来るのだろう。

10/8/2022
音楽いる? と思ってしまった。

ところどころにリアリティあるシーンがあって、なんか見ていて悲しくなった。
見ているのが辛かった。いろいろ思い出してしまった。

実のお父ちゃんにあんなこと言われたら泣いちゃう。

ただ、その後のシリルの行動には同情できない。

サマンサの母性はどこから来ているのか? 恋人を捨ててまでシリルを愛していたし。本当は子どもが欲しかったのかもしれないなとか思ったり。
映子

映子の感想・評価

3.8
少年には少年なりの
プライドがある

自分の存在価値

パパに捨てられたと
認めたくない少年シリル
(トマ・ドレ)

11歳、繊細な歳頃での
育児放棄
父子家庭からの施設
迎えに来るはずのパパが来ない。
いつ迎えに来る?
なんで迎えに来ない?
そう思って当然!

親の愛情を
たっぷり受けて育つのは理想だが、

子供が邪魔

そう思っている親はたくさんいるはず
それがリアルだし
そんな映画もたくさん観てきた

今作は
パパへの思い
捨てられる不安
期待と裏切り
聖人と母性が描かれている

落ち着かず動きまわるシリル少年
演技とは思えない振る舞いが見どころ
イライラする人もいるかも

サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)
彼女のような行いは親切ではなく
目の前の出来事として
当たり前の反応なのかも
極めて自然な対応に見える
たが、
これを善意だと
サマンサ自身が思っていたならダメ!

シリル少年にとっての
パパの存在
サマンサの存在
不良少年の存在

そこを彼がどう感じ
どう見極め
どの道へ行くのか
どこへ帰るのか

パパが買ってくれた自転車に乗りながら
あの時、
彼は何を思っただろう。


音楽は
ベートーベンのピアノ協奏曲第五番≪皇帝≫第2楽章

のみ

劇中、
ターニングポイントで
わずかに流れるこの音が
サマンサの存在とリンクする
非常に有効的な使い方で秀逸


終盤の展開、、、、、
シリルよ、
それが世の常と言うもんさ。
予告編をはじめて観た際にベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番・第2楽章を、こんなにも美しく効果的に用いられた映画があることに驚きました。僕の知りうるかぎりのクラシック音楽のなかで、最も美しい曲のうちの1つとして愛している緩徐楽章。本編もまたこの曲の本質をよくつかまえた内容だったように思います。

17歳の高校2年生だった頃、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番は僕にとってどこか宿命を感じさせる音楽でした。高校までの道のりにあった長い坂道を、真夏に自転車で駆け上がっていたときによく頭のなかで鳴り響いていた曲。オーケストラの序奏のあとに静かに導かれるピアノの旋律と和声。セミの鳴き声の喧騒のなかで、その静けさはどこまでも静かに鳴り響いていました。

監督はベルギーのダルデンヌ兄弟(ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック=ピエール・ダルデンヌ)で、僕が接したのは今のところ『ロゼッタ』(1999年)
と『午後8時の訪問者』(2016年)そしてこの『少年と自転車』(2011年)の3作品ですが、他の作品についても折に触れて必ず観ていこうと思っています。

たとえば『ロゼッタ』が、少女のなかに表れる女性性の何かをたいへん高い象徴度で描いているとするなら、この『少年と自転車』もまた、少年のなかに表れる男性性の何かを同様の地平において描き出しているように感じます。ベルギーという国の抱える複雑な事情や経済格差については『午後8時の訪問者』のレビューに譲るとして、そうした社会的問題をドキュメンタリーとして撮ることを出自としたダルデンヌ兄弟は、しかしながらそれだけの監督ではないことが本作にもよく表れています。



父子家庭で育った少年シリル(トマ・ドレ)は養護施設に預けられているものの、父親に捨てられた事実を認めたくない一心で(心のどこかですでに感じているからこそ)、反抗的に施設からの逃走を何度も試み、執拗なまでに父親の所在を探し求める姿を映画は描きます。そうしたなかで彼が自転車に執着するのは、それが父親との絆を象徴するからこそなのですが、『ロゼッタ』に描かれる何も持たない少女との対照性が鮮やかに描かれているように感じます。ダルデンヌ兄弟は、女性性と男性性がどんなものであるのかをほんとうに深く知っている。

美容師の女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)との出会いは、そうした彼の逃走中に果たされます。週末の里親を買って出た彼女との関係が深まっていくなかで、「どうして里親になってくれたの?」と尋ねる少年に「あなたに頼まれたから」と答える彼女。ここにも女性性への深い洞察が宿っているように思います。彼女たちが何かを受け入れるときには、決して何かのためという経路をとらない。

また探し当てた父親ギイ(ジェレミー・レニエ)の職場で、他の大人たちに対するものとはうって変わった従順な態度を示す少年シリルは、息子としての心が父親をどのように想うものなのかが端的に表れています。かつての僕もそうでしたし、僕の息子も同じです。

そして大切な自転車が盗難された先で出会う不良少年ウェス(エゴン・ディ・マテオ)とのやりとりもまた、少年が何を心の一大事として思うのかがたいへん象徴的に描かれています。またその一大事に対して、サマンサという母性がどのように対立するかもよく描けている(それは善悪では測れないことです)。

映画はそのように進んでいくなか、やがて不良少年ウェスに巻き込まれるかたちで少年は強盗を働くのですが、奪った金には何の関心も持たず、またその金を父親の元に届けるものの追い返され、路上に落としたまま振り返りもせずに、夜道を自転車で駆けていくシーンが描かれます。たいへん印象的なシーンですが、この切実なイノセンス(無垢)はラストシーンにも引き継がれていきます。

警察と司法を通して、襲撃した雑貨店の店主と調停を結んだシリルとサマンサ。しかしながら襲われた店主の息子は恨みを捨てきれずシリルを追い詰めます。木に登って逃げる彼に店主の息子は石を投げつけ命中し、シリルは落下して動かなくなってしまう。絶命を疑った親子は偽装を講じる。そうした一連のシーンのなかで、悪を働いたはずのシリルのイノセンス(無垢)が際立つ演出となっています。

やがてシリルは息を吹き返すのですが、自身の罪とやましさから動揺する雑貨店の親子とは対照的に、何事もなかったかのように自転車をこいで帰っていくシリルの姿がフレームアウトして映画は終わります。ドライに描かれるこの生命感には、顧みられることのない人間の格調や美しさが宿っておりたいへん感動的でした。

また作品のいくつかの箇所で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番・第2楽章は鳴らされるのですが、いずれもオーケストラの序奏を短く用いているだけで、とてつもなく美しいピアノパートはエンドクレジットではじめて流されることになります。この曲のことをほんとうによく分かっていると膝を打つような思いがしました。
matsu

matsuの感想・評価

3.8
育児放棄された少年とその週末の里親(女性)を描いた作品。

シリルの父親は経済的余裕がなく(母親はいないらしい) 育てられないため、シリルを児童養護施設に入れる。シリルは父親と暮らしたくて、父親に会いに行く。父親は「余裕がないからもう会いに来るな」と伝える。

美容室を経営しているサマンサが週末の里親になる。シリルを包み込むように愛する。シリルは一旦、不良の先輩とつるむが愛してくれるサマンサの元に戻る。

終盤、シリルとサマンサが仲良く自転車に乗る場面が映し出される…シリルは居場所が見つかって良かった。

育児放棄や教育についていろいろ考えさせられる映画でした。
ゆのは

ゆのはの感想・評価

3.5
全体的に暗いけど良かった。

ダルデンヌ兄弟って
「その手に触れるまで」の監督か。

「その手に触れるまで」
の内容はうろ覚えで
彼らの作品は、
今回含め2作品しか
観てないけど、
宗教問題や育児放棄などの
社会問題を背景に、
まだ善悪の知らない
無垢な子どもが
周りの影響を受け
て間違った方向へ
進んでしまう様を描き、
意味深な終わり方をする。
2つの作品には
ところどころ共通点があり、
ダルデンヌ監督が描く
一貫したテーマに気づけた気がした。

記憶が新しいから
かもしれないけど、
個人的には
「その手に触れるまで」
よりこの作品の方が好き。

長さも90分弱なので
良かったら観てみてね。
口口

口口の感想・評価

4.3
サマンサの描写がありがたすぎる。それぞれ背景はあるだろうけど、困っている人を助けるのに個別の事情なんて必要ないのよ。そしてそれを聞かれた時の「あなたに頼まれたから」という返答が全て。
いつも以上にシンプルな話だが、ラストシークエンスには少しゾワッとした。
淡々と終わっていく感じがダルデンヌ。
えり子

えり子の感想・評価

3.1
自分は冷たいのか、少年シリルが平気で裏切り、嘘をつく度に腹が立った。
親に捨てられたとは言え、この少年は何でいい人には残酷で、悪い人には素直なんだろう。
何度裏切られても、少年シリルを見捨てない里親のサマンサには頭が下がる。天使のような女性です。
カンヌで賞を取ったと言うのが、わからなかった。
ダルデンヌ兄弟の映画、評価されているのね。
一人旅

一人旅の感想・評価

4.0
父に見捨てられ施設に預けられていた少年シリルが、美容院を営む女性サマンサと出会い、真の居場所と家族を見つけるまでの過程を描いた人間ドラマ。『ヒアアフター』にも出演していたセシル・ドゥ・フランス扮するサマンサの、シリルに対する深い母性と親心に感動を覚える。まだ大人になれないシリルは、里親のサマンサに対して酷い態度を取ったり裏切ったりしてしまう。それでも、シリルが味わってきた痛みや悲しみを知っているサマンサはシリルを決して見捨てない。血の繋がりがなく赤の他人であるはずのシリルが自分を邪険に扱っても、愛し、支え続ける。子どもを傷つけるのも大人だが、子どもを救えるのも大人なんだと思う。
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