Yu

少年と自転車のYuのネタバレレビュー・内容・結末

少年と自転車(2011年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

内容は激しいけど、静かな映画だなと思った。
決してわくわくすることが起こって引きこまれる、とかじゃないけど、なぜか先が気になって惹きこまれる。
私はシリルの行動にイラつきはなかったなぁ。
私は親とも仲良いし祖父母からも可愛がられて、もうありがたい境遇で育ったので愛に飢えてるシリルに共通の何かを感じることができたわけではないけど、何故かあの子の行動が自然に受け止められた。
水を出しっぱにしたり冷蔵庫パタパタやったり、別に意味はないけどやめられない、やめたらなんか嫌な気持ちになりそう、みたいなのがすごく自然だった気がする。

と、前半はすごくしっくりきたんだけど、後半がちょっとわからなかった。
あの悪い男の人のくだり、なんか回収されてない気がする。
受け入れてくれた人のために、悪いことに足つっこむ、っていうのはわかるくだり。
お金はいらない君のためにする、っていうシリルがすごく無邪気というか純粋というか、グレて犯罪に走るっていうんじゃない、その人のためになにかしたいだけっていうキャラクターがすごくうまく表されてたと思う。
すごく切なかった。

ただ、襲ってからが急展開。
その帰り道にポイッて捨てられて彼との関係は終わり。
あっさり身元割れて和解して仕返しされる。
そこで終わり。
自転車に乗って帰っていって、その先が見れずに終わるのはなんか拍子抜けというか。
あの後どうなったんだろう。
そこがこの映画の美しさってやつなのかな。

この映画での被害者は、もちろんシリルなんだろうけど、私はジルもめちゃくちゃ可哀想な人だと思う。
サマンサがシリルか俺か
って問われたところでシリルって即答して、ジルを追っかけたり電話したりしなかったあたり、2人の関係はそこまでじゃなかったのかもしれないけども。
この場面に関しては、サマンサは強い女性、っていう印象はなくて
むしろすごく独りよがりだった気がする。
だって、シリルに愛情もってるのはサマンサで、ジルはそれに付き合ってくれてたから。

あと、あの不良男ももしかしたら悪い奴じゃないのかもしれないって思った。
あの人、おばあちゃんに優しかったし、おじいちゃんと三人で暮らしてるっぽかった。
ってことは、稼ぎ頭は彼しかいなくて、でも若造一人の収入じゃ年寄り2人を養うのはなかなかきつい。
しかも密売人なんて噂立てられたら収入のいい仕事なんかムリだし。
ってことで、それぞれ闇があるんだなと。


ドン引くほど長々書いちゃいましたが、要は考えさせられる映画でした。

2014*12*07
Yu

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