ビョーキノオタク

その男、凶暴につきのビョーキノオタクのレビュー・感想・評価

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)
4.0
北野武映画は独特の間の取り方が唯一無二だと思ってたけど、終盤の長回しでの緊張感・緊迫感がとんでもない。登場人物の逡巡・葛藤の演出が上手い。
武の演じる主人公が暴力性の塊のようで、会話で有利に持っていこうとする相手に暴力で有無を言わさずボコボコにするのでスカッとするね。

敵対するキヨヒロも、話の通じない暴力の塊のような男だった。
周囲が"大人"として物事を進めようとするのに、北野武とキヨヒロは子供のような短落さがあり、周囲の大人を悩ませる。

エンディングの「僕はうまくやれますから」は、大人になれない彼らを揶揄した皮肉が効いている。
思えば、オープニングの子供に制裁を加えるシーンも、「子供のままでいるなよ。早く大人になれよ」というメッセージなのかも。