その男、凶暴につきの作品情報・感想・評価

「その男、凶暴につき」に投稿された感想・評価

たいち

たいちの感想・評価

4.8
たけしがあまりにも怖い。俺は今まで、たけしが面白いから笑っていたのではなく、たけしの機嫌を損ねないために笑っていたのかもしれない。日本で肝が据わっている人間のトップ3を挙げるとしたら、たけしの愛人・楠田枝里子・ビトタケシだろうな。煮えたぎるような怒りを抱えながらも、無表情のまま淡々と復讐するたけしを見て、「限界まで"怒りきった"人間はこうなるんだろうな」と思った。つぶらな瞳でキャラクターっぽさがある顔立ちだと思ってたけど、よく見るとメチャクチャ厳つい顔してる。もう今後は怖い人としてしか見られないや。あとこれは全然関係無い話だけど、ビトタケシのホームページに、たけし本人との思い出の歴史の写真が掲載されていて地味に面白い。
初監督でこれは凄いな
後の北野作品にも見られる要素がたっぷり詰まっている。

ストーリーや演出も分かりやすく北野武の映画入門としてもオススメ!
そなちね、HANA-BIも見たけどこれが一番面白いしバイオレンスやた。おもろかった映画として楽しめた。
カメラワークもいいしオチも好き
lvs

lvsの感想・評価

3.6
若い時の白竜が稲ちゃんそっくり。

正直、周りが言うほどそこまでめちゃくちゃ面白い映画だとは思わなかったが、分かりやすい内容ではあった。
ファーストカットで浮浪者が映し出された瞬間の不穏さと暴力の「予感」。そして、その「予感」通りに投げ込まれてくるサッカーボール。
予感はあっても突発的に暴力が放り込まれる感覚があって、そこらのホラー映画よりも余程ドキッとさせられる。

犯人を追いかける場面でも、普通に道路で子供が野球をしてたり、おばちゃんが布団を干して叩いてたり、そしてその日常のものが凶器に変わる瞬間もちゃんとあってそれがすごい良いなあと思った。
そこからの犯人2回轢くとこまでの流れとかが本当に面白くて笑ってしまった。
その後に「逮捕するのに車で2回も轢くことがあるかね」とかぶつくさ言いながら出てくる佐野史郎も面白かった。佐野史郎ってこういう役をやったら天下一品だよなぁ。


印象に残ったシーンは沢山ある。
歩道橋を歩いてくるたけしさんの格好よさ。
あまりにも淡白に差し込まれるゆえに余計ショッキングな岩城の首吊り死体(発見者が何も言葉を発せないというところも好きだった)

それと、妹の存在感。
妹といるときに流れる時間の優しさ穏やかさ。
それがあるから後半の展開が辛くてしょうがない。

はじめのシーンでなんで少年たちをその場で逮捕しなかったかというところにも主人公がどんな人なのかあらわれていると思う。
権力を行使して逃がすくらいなら、そこから外れても的確に恐怖を与えて確実に捕らえる方を選ぶ人。

後輩にお金借りたり子供撃ったりしたりするから一見社会的な枠組みみたいなものからは外れているんだけど、本当の心は妹を思って夕方になるまで一緒に海を眺めてくれたり、殺された岩城を思って怒ったりする心がある。岩城の家族にだって、余計なことは言わない。
そういう人だからこそ我慢ならんものがあって、そういう人だからこそ生きていかれないんだ。

主人公は「どうして警官になったんですか」の問いに「友人の紹介」と答えたけど、本当はもっと夢を持ってこの職についたんじゃないのかなとも想像してしまう。でもきっとどこかの時点で、それではどうにもできない悪があると知ってしまった。だからあの人の中ではもう、ああいう風にするしかなかったのかなって。まぁ勝手な想像ですけど。その勝手な想像をさせてくれる余白というかそういうのがあるところが良いなあとは思う。

それと対峙していく清弘もそういう男で、誰かに従うような人間でもなく性的にもマイノリティで、きっと生き方としては違くてもどこかで主人公と同じようなものがあったのかなと思う。
だから殺しあわなきゃいけなかったしその結果死ぬ。

きっと主人公も、最後アイツに殺されなくても死んでただろうな。

そう思うとなんともやりきれない。

でもこういうの好き。
そらじ

そらじの感想・評価

4.3
ストーリーが分かりやすいので、北野武と白竜の狂気性をたくさん浴びられたので良かった。程よいテンポと乾いた笑いや暴力描写に間を生かした緊迫感、そしてほぼ無表情だからこそ際立つ細かい表情の変化など、素晴らしい映画だった
meguros

megurosの感想・評価

4.5
久しぶりに再見。元々は深作欣二が撮るはずだったがビートたけしが撮ることになって...みたいなそのあたりの経緯は「黙示録 映画プロデューサー奥山和由の天国と地獄」に詳しい。

正にここから「世界のKITANO」への道が始まったわけだが、この初監督作の時点から既に作家性(法では裁けない悪に自分で落とし前をつけるというフライデー襲撃事件的なテーマ)が全面展開。映画の隅々まで漂う緊張感は、監督としての手腕も去ることながら、役者北野武の力量も大きかった。余計なことを語らず、悲しげで、とにかく怖い。

※体の弱い妹(HANA-BIでは妻)、黒塗りの車を上からなめるように撮るカット(アウトレイジ)、絵画展など、後の作品にも見られるモチーフがここにもあったことに今回初めて気付いた。役者陣も白竜や寺島進、芦川誠が出演。とにかく凶暴な男ばかりで、「全員悪人」という言葉が脳裏に浮かんだ。

銀座の松竹セントラル前で清弘に襲撃される場面での鮮烈な暴力描写(女学生の巻き添え事故)、清弘のアジトで我妻が倒れるシーンの表現主義的な照明表現など見ても、才気迸る傑作であることは間違いない。岸部一徳の座るがらんとしたオフィス、平泉成と話すカフェを外から撮る場面など空間を捉えた撮影方法、役者陣の演技ではまばたきが控えられ、誰もが感情を押し殺した独特なムードを醸している。
ryosuke

ryosukeの感想・評価

3.9
歩く、走る描写の多用は北野映画の一つの特徴だが、処女作である本作ではとりわけ多用されているように思う。肩を怒らせながら、真っ直ぐに、自分の描く軌道に寸分の疑いもないように歩く北野武は、さも当然のように少年宅に乗り込んでいく。迷いや躊躇いがカットされた北野武の挙動は、無駄な説明描写を省略した北野映画のスタイルと呼応している。
トイレで売人を詰めるシーンの異常にしつこいビンタ。吐かないなら吐くまで殴れば良いという極めてシンプルな原理にしたがって行動する我妻の異様な単純さが怖い。それでいて、金を貸せと要求する姿にチャーミングな憎めなさがある北野武の魅力。北野映画のずるいところは、強烈な魅力を持った怪優北野武を必ず使えるところにもある。
岩城の首吊り死体の唐突な差し込みは、「カリスマ」「CURE」の黒沢清と響き合うものも感じる。
白竜の視線ショット→ロッカーの中に置かれたナイフ→我妻の背後にカメラポジションが移り、彼が後ろ手で拳銃を準備していることが分かるショット。簡潔かつ的確な手際でワクワクさせてくれる。我妻が、白竜の拳銃を構えた手を蹴り、ズレた弾道の先にいる通行人が瞬時に血塗れになるシーンなど、北野が敬愛するメルヴィルの一瞬の暴力の切れ味を感じる。
落ちていく橋爪の時空間の連続性を寸断、混乱させるカッティングと、仰角のアングルのまま岸部一徳の支配するヤクザのビルの外景に繋ぎ、一瞬白黒が反転したような印象を与えるケレンも印象的。
遂に白竜との決着が付くシーン、とにかく真っ直ぐに歩く所作を反復し続けてきた北野武の挙動は、たとえ銃弾を浴びながらでも変わることはない。
序盤で我妻がカメラに向かって歩いてくるショットと、全く同じ劇伴、構図に収まった菊地は、そうでありながら岩城の役割をも継承しようとする。初々しさが目立った菊地も暴力の連鎖に飲み込まれていくことが分かる。二人のどちらの道を行こうとも、その結末は決まってしまっているのだろう。
UCOCO

UCOCOの感想・評価

4.3
うげえ、ヤクザ映画苦手。。とかいう謎の偏見があったためにずっと見てこなかったんだけど、見てみた結論は「良すぎた。」

やっぱりこの時代の日本映画、雰囲気も含めた全ての要素が好きなんだよね!大林監督の作人大好きだからここら辺本当にツボなんだと思う。

佐野史郎出てきた瞬間、「あ〜、きたよこれは完全にやばいよ」とか思いつつ、最後まで見ると北野武が最強すぎずに描かれてるのがいい。
初心者百四十作品目!!!

【概要】
レンタルビデオで視聴。

【感想】
北野武の初作にして完成系。

暴力描写のレパートリーが異常で、その詰め込み具合から静謐さも混沌さも感じられる、なんとも変な世界観ですね。
監督の芸風が活きてる部分もあるのかなとも感じます。

ですが恐らく監督が強調したいのは静謐さの部分。
冷たい暴力の描き方がマジで怖ぇぇえ。
それと同時に観客はそれに惹き付けられるぅぅう。
そうさこれが発明ぇぇえ。

厨二病の方、刺激的な映画が見たいよって方は是非是非の是非。

【終わりに】
星評価がめんどくなったんで、スコアでジャンル分けしたいと思います。

何気に凄発想じゃない!?
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