歪み真珠

アキラ AKIRAの歪み真珠のレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
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私の令和初の映画は念願のAKIRAとなりました。
原作は読んだことがあるけれど映画ははじめて。思いのほか省略されていてびっくりした。ナウシカみたい。ナウシカも原作の熱量をあとから知ってぶったまげた。映画のナウシカなんて序章にすぎない。
この映画AKIRAもそんな印象。原作のラスト、金田とケイがバイクに乗って、大東京帝国を受け継いだ二人とともにトーキョーが生まれ変わるシーンを映像で観るのをめっっっちゃ楽しみにしてたんだけどさ。あ、そこは、、ないんだと知って心がしょぼしょぼしたよ。

鉄雄の入院施設やネオトーキョーの街を見てブレードランナーを思いだし、破壊される街を徹底的に描く姿勢をみてゴジラを思いだし、なんとはなく2001年宇宙の旅のことも考えて、鑑賞当時、熱中して読んでいた本はジョージ・オーウェルの1984年やら伊藤計劃さんのハーモニーで。私の心の中に雑多に詰め込んできた「近未来」「SF」「ディストピア」なんてラベルされた物置が揺り動かされて頭の中に溢れかえってきた。自分のちからをコントロールできなくなった鉄雄よろしく私も自分の記憶にぷちんと潰されそう。

鉄雄の金田への強烈なコンプレックスがすべての元凶では?と思う。なかなかつらい。
金田も察してやれよ。ラストチャンス、あのとき鉄雄におまえの勝ちだよとか言ってればあんなことにならなかったのでは?

見終わったあとはまた、物置は雑多に詰め込まれたわけだけど。彼らが走り抜けたトーキョーに残るテールランプが光ってる。