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酔いどれ天使のDocのネタバレレビュー・内容・結末

酔いどれ天使(1948年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます


すごく面白かった。


特に真田(志村喬)のキャラクターが良かった。乱暴で粗雑な男だが、医者としての芯があり一度診た患者のことは放っておけない人間味、人情がある。その人間味がストーリーを進めて行く。
松永(三船敏郎)のキャラクターも真田ほどではないが良かった。
黒澤明の映画はキャラクターの人間味、リアリティがある。


志村喬と三船敏郎の初共演というのもアツい。


黒澤映画の多くを観た訳ではないが、黒澤明はいつも「人間」を描いている。
この作品のテーマは「人間の性(さが)」だと思った。医者としての性、ヤクザとしての性。性からは逃れられない。だが人間は理性を持っているので、悪い性は理性で抑えなければならない。だからそれができない松永は死んでしまう。


松永が刺されて死ぬショットはすごくカッコよくて心に残った。
松永が棺桶を斧で壊すと、死装束を纏った松永がいて追いかけてくる。という夢のシーンはメタファーが直接的すぎて記憶に残った。


調べて行くと戦後に世間に蔓延ったヤクザ批判としてこの映画は作られたらしいが、そういう時代性は現代の人たちがこの映画をみるだけでは完全に感じ取ることは難しいが、そのような意図があったのは興味深い。
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