yamakawa3000

ゆれるのyamakawa3000のレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
4.0
東京でカメラマンとして活躍する猛(たける:オダギリ)は 母親の一周忌のために長く帰っていない実家へ帰郷する。

ガソリンスタンドは厳格な父親と兄の稔(みのる:香川)で 経営していた。

猛が実家へ戻る途中にガソリンスタンドによると、 幼なじみの智恵子が働いているのに気づいたが、 猛は無意識に気づかれない様に顔をそらしてしまう。

実家に戻るとすでに一周忌は終わりかけていた。
母親の葬儀にも来ず、一周忌に遅れてきた猛に 父親はあらん限りの不満をもらす。
猛は黙って聞くことなく反論し、取っ組み合いの 争いになるところを兄の稔がすぐに止めた。
猛にとって兄は唯一信頼できる存在だった。

翌日、猛はガソリンスタンドへ稔の様子を伺いに行く。
幼なじみの智恵子と稔がやけに親しく接しているのを 見た猛は、兄への嫉妬から智恵子を寝取ってしまう。

次の日、猛と稔と智恵子は幼い頃によく行った 蓮美渓谷へ向かった。
猛がカメラを携え一人吊り橋を渡ると、 智恵子も後を追いかけようとして吊り橋を渡ろうとする。
稔は吊り橋を渡る事を怖がったが、 いつ崩れてもおかしくない吊り橋を智恵子一人で 渡らせるまいと怯えながらも一緒に渡る。
橋の半ばにさしかかった頃、智恵子が 稔の手を振り払い何かを叫ぶ。
稔は思わず、智恵子を突き飛ばしてしまう。
すぐに我に帰り智恵子に手をさしのべるが、 智恵子は恐怖のあまり稔に近寄ろうとしない。
次の瞬間、智恵子は渓流の中へ呑込まれてしまった。

一部始終を目撃した猛は稔をかばう様に
智恵子が勝手に落ちたとだけ警察に告げる。
一旦は事故として片が付こうとしていたが、 思いもよらぬ稔の自白で事態は刑事事件へと一変する。

稔の意図は、そして事件なのか事故なのか、 猛のなかで様々な想いがゆれだした。
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すごい。色々揺さぶられる映画でした。

橋、兄弟、女、拘置所、裁判。。。
様々なシーンが同時に心象の記号となって、 相乗効果をなしています。

オダギリ扮する猛。
猛を(が)見つめるもう一つの人物である兄、稔。
その間でゆれていた智恵子(はある意味バランスか)。

脆い様でしっかりとした橋を渡る様に
全てが猛のほうへ傾きかける様に見えたその時、 智恵子という存在がなくなり、残った二人が (橋の)真ん中で寄り添い、ぶつかり合うことになる。
拘置所で鏡の中の自分のようにガラス越しに 向かい合うお互いの現実と感情。
橋を越えないと花は撮れない。
実家での象徴的な洗濯物。死んだ魚の見開いた目。

ラスト数通りの解釈ができる様になっています。

どこかに田舎があって、
単身上京(or上府?)している人。
また逆に田舎でずっと暮らしてる人。
グサってきますよ。
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