サトモリサトル

みれんのサトモリサトルのレビュー・感想・評価

みれん(1963年製作の映画)
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原作は瀬戸内晴美の「夏の終り」。
3年前に熊切和嘉監督が満島ひかり主演で撮っている。

のっけからホラー?と思うような夢のシーンから始まってびっくり。
そして、この映画における陰の主役とも言える岸田今日子の怖さよ。
最後まで顔がきちんと映し出されることはなく、殆ど声だけなのにものすごく怖い。
戦慄の電話のシーンも見どころの一つ。
熊切監督版の女優さんも怖かったんだけど、やっぱり岸田さんの方が1枚上手だな。

ラスト間近の事故のシーンって原作にあったかな。同じ松山善三脚本で成瀬巳喜男監督作の「乱れる」を嫌でも彷彿とさせる。
今回の千葉泰樹特集の副題が、「成瀬になれなかった男」なんだけど本作を観て何となくこういう題材は成瀬が撮った方が良かったんじゃないかなと思ってしまった。千葉監督はメロドラマよりも、「大番」とか「へそくり社長」みたいな喜劇の方が活きが良い気がする。そんなに数見てないのでいい加減なことはいえないけど。

2016.4.12 シネマヴェーラ渋谷