高倉のファッションが最高にカッコいい。
黒セーター、グレーのジャケット、ベージュのトレンチコート。
とにかくかっこいいんだけど、網走番外地はともかく、高倉のやくざ映画を見ていつも思うのは、こういう優しい男がなんで走馬灯見るような切ない顔で人殺さなならんのか。
義理人情は、ただの荒唐無稽な行動を切なく儚い美的行動に転換するギミックである。止むに止まれぬ、とかいうのは本当は自己陶酔でウットリしたいが為の言い訳だ。
ちなみに、戦後日本映画界最高の引き立て役・田中邦衛を差し置いて、この映画で高倉を引き立ててるのは小林亜星。亜星の音痴なカラオケがいいよ。オロナミンCも飲みまくってるし、古風な指詰めに文句言う時は「東映ヤクザ映画の見過ぎだ」とか言ってる。小林はこの映画をメタフィクションにしてるキーパーソンである。
つまり、この映画は、冷静に考えてみれば荒唐無稽なヤクザ映画だけどとにかくカッコよさだけを消費してればええんやで、と教えているのである。それを実現しているのは小林亜星である。
高倉はカッコいい担当なので、ヤクザ映画をメタフィクにはできない。
健さんかっこいい、池上季実子かわいい。
最後の高倉のショットがべらぼうなかっこよさである。さすがラーク俳優だ。