COZY922

シービスケットのCOZY922のレビュー・感想・評価

シービスケット(2003年製作の映画)
3.6
たとえ環境や条件に恵まれなくても、たとえ一度や二度挫折しても、努力次第で道が開ける可能性があることをこの映画は教えてくれる。実話ゆえの説得力、秒単位勝負の持つ凄み、幾多の困難を凌駕した絆と不屈の信念に勇気づけられる。

1930年代、シービスケットという馬と、馬主、調教師、騎手の3人の出会いが生んだ奇跡。小さな体に曲がった脚の 競走馬としての資質が明らかに見劣りする馬と、挫折や辛い過去を持つ3人の男の織り成すドラマは、派手ではないけど前に進む力や希望に満ち溢れていた。血統と馬体に恵まれた相手や 致命的な怪我などの試練に 立ち向かう姿が、暗く厳しい大恐慌時代の人々の一筋の光になり得たのもわかる気がする。

現実を直視すると「努力は裏切らない」とは必ずしも言い切れないことって残念ながらやっぱりあると思う。努力は必ず報われるとは限らず、時として残酷な現実を鮮明にすることもある。けれど、信念と努力無しには 望むところに辿り着くこともないし奇跡を呼ぶこともない、それもまた もう一つの事実。だから少しずつでも積み重ねて前に進もう、そう思わせる力があった。

劇的な感動というよりは、良さがじわじわと込み上げるタイプの作品。良かったけど、3人のバックグラウンドや過去を描いた最初の30分については、必要なパートとはいえ、正直なところ やや散漫な印象だったのは残念。個人的な好みだけど、誰か1人を主軸にして描いていれば もっと序盤の段階で感情移入できていたかもしれない。

ちょっと長いのと地味なのを差し引いても良作。思慮深そうで 優しさをたたえた馬の瞳が好きな私にはそこもツボだった。