マチダひかル

紀子の食卓のマチダひかルのレビュー・感想・評価

紀子の食卓(2005年製作の映画)
4.0
 自分の周りとの繋がり(役割、肩書、評価)を抜きにしてどれだけ自分と向き合うことができるか、それがあなたはあなたの関係者ですか?なのだろうか。常にはできないかもしれないけど人生を左右するような決断をするとかそういうときは自分勝手、自己中心的になって自分を大事にして生きたい。
 クミコは生まれ持った関係がないからそれを忘れたくて、一時的にでも目の前にある関係性に集中することでこころを安定させようとしていたのかもしれない。そこに生まれ持った関係を信じてそれを取り戻そうとしてる紀子、ユカの父親が乱入してくるのは正反対の二人すぎた。関係性を繋ぎ止めようとする彼の必死さは嫌いじゃない。プラナリアの最後の話思い出した。あんなぼんやり息してる人も状況が変わればここまで必死になれるんだって思ってちょっと嬉しかった。私は必死になれることとか頑張りたいこととか絶対に欲しいものとかがないから、あったらあったで辛いんだろうけど父親が羨ましかった。
 本物でありながら誰も役割を果たさない家族より、虚構を自覚しながら役割に徹する家族の方がいいのか?でもそれはやっぱり茶番でしかなくて、なんでかって言うと役割に徹することで感じたとおりに行動することができなくなってしまうから。役割の一番怖いところって自分の心を無視し続けなきゃいけないっていう、そこなんじゃないの?と思った。
 語りが多すぎる気はした。それともうちょいわかりやすくしてもいいのでは?