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東京物語のtatsuoのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
5.0
子供達に会うために田舎から上京して来た老夫婦。歓迎されるも、時には厄介払いで熱海へ行かされたりする。自分達の育てた子供達へ軽く失望した。そんな老夫婦達を1番気にかけてくれたのは戦死した次男の嫁。つまり他人。そんな嫁、子供達に感謝をして田舎へ帰る。
程なくして老妻が急死。葬儀後、ドタバタと東京へ帰る子供達。次男の嫁が1人残って養父の世話をし、感謝され、次男の事に対するお互いの罪悪感を吐露し、嫁も東京へ帰る。最後は年老いた父が1人寂しく残される。

ただそれだけ。

一見何の盛り上がりも無いようなストーリーだが、自分が実際にこの状況に出くわしてしまった事で、この話がどんなに残酷で寂しい話しかがよく分かった。
ラストシーンはやはり名場面。キャメラの構図、目線、カット割、ライティング。映画の文法を無視した独特の雰囲気を持った撮影手法だが、不思議なことにこれがこの物語、否、小津さんの作品全てにハマっている。
日常を描く作品ほど難しいものはない。
だけど、この作品を観た人々の心に深く共感を与え、感動させれるこの作品は正真正銘世界の名作である。
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