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東京物語の親友のレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
3.0
尾道と東京。
京子と紀子。
東京が一切映らない東京物語。
物足りなさに満ち足りる。
涙は出ていないのに、不意に拭う。
この指は何を拭ったのでしょうか。
失った者と失われたもの。いつの時代も変わらないもの。
その葛藤が我が子のようでいとおしく思います。
近すぎて見えないもの。客観的立場の彼女たちはいつか変わってしまうのでしょうか。
目には見えないものだから、忘れてしまっても仕様がない。
自分が一番大事でしょう。ありのままで居てください。
忘れてしまっても構いません。覚えてさえいてくれたら。

こんなのもったいないわよ、と。否定から入る思い遣り。
あ~りが~とって、素直に言えたら一番いいけれど、気が付いていたらそれだけで沢山。
思い遣りの言葉に本心がなくても、想いがあるならそれだけで沢山。
うちわの風になって涙を拭えれば、言葉はなくてもそれだけで沢山。

軽薄な言葉の奥に涙が見える。本人すら気づいていない乾いた涙が。
ニコチン過多と情報過多。体に悪いのはどちらでしょうか。
酒とわびしさ。心に悪いのはどちらでしょうか。

無関心な敬語には定型文のような虚しさを感じます。
紀子ととみの精いっぱいの言葉の繰り返しは重ね言葉と揶揄されますか。

尾道と東京のすれ違い。失ったものが違うから。わかりあえなくて寂しいんです。

忙しさや、虫の知らせに、一瞬だけ時が止まって、石に布団も着せられず、省みたり慰めたりして。

最後は手を握って見送るか、金を握って立ち尽くすか、何も持たず川を渡るか。

自分で選べるなら、幸せなほう。自分で選べるなら幸せなほうですとも。


【日常MAD】ヒャダインのじょーじょーゆーじょー FULL
https://youtu.be/aaR4PJDuX7o
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