初小津作品。
初め、カメラを向いて喋る登場人物たちにビックリしたけど、なるほど、これが小津節か、と解読していくのも楽しかった。
お母さん危篤の電話を受けて席に戻った時や帰りの汽車で時計を見たあとの、あの紀子さんのふとした微妙な表情は一体何を思っていたんだろう。
でも、「私、狡いんです」のセリフは何となくわかる気がする。
「墓に蒲団は着せられず」
身内になるほどいつか孝行すればいい、優しくすればいいと蔑ろにして他人との付き合いを優先してしまう。身内に対してより、赤の他人に対しての方がよっぽど愛想良く、自分を良い人に見せようと気前よく接せてしまう。それってすごくわかるなぁ。