ティオ

セールスマンの死のティオのレビュー・感想・評価

セールスマンの死(1951年製作の映画)
4.0
この作品で特に印象に残ったのは、子どもに夢を押し付ける親の姿と、この家庭が社会の消費サイクルの中に見事に組み込まれてしまっていること。
長男の「僕はこんな人間なんです」という悲痛な叫びが心に刺さる。親の願いを子に押し付けてはいけないと改めて思う。
「ローンが終わる頃に電化製品の寿命がきて、また買い替えないといけない」は確かになと思った。自分も将来こんな風にお金に追われる生活になるかもと思うと気が塞ぐ。

現実から幻想に移行する時の場面転換がとても上手い。
かなり自然にスムーズに移るから、それほど、ウィリーにとっては現実と幻想が紙一重になっているのだとわかる。

最後、ウィリーの表情が生き生きしているのが物悲しい。
死への恐怖なんてまるでないあの顔…。

「家のローンは払い終わったのに住む人はもういない」が辛い。
ウィリーは自分の死が家族に幸福をもたらすと信じていたけど、実際にはそんなことはなかった。
でも、ウィリーが生きていたとしてもこの家庭は決して幸福にはなれなかっただろうと思う。
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