YohTabata田幡庸

狂った一頁のYohTabata田幡庸のレビュー・感想・評価

狂った一頁(1926年製作の映画)
4.1
過去の名作観よう週間と言う事で、 約100年前の日本で作られた衣笠貞之助監督の初期作を。

1926年と言えばバスター・キートン「大列車追跡」の年だ。
そんな超昔に衣笠貞之助と川端康成が作った、超モダンな映画。よくこんな映画を作ったな、良くも悪くも。映像的には超カッコイイし、古びれないし、面白いのだが、いかんせん気味が悪い。江戸川乱歩の小説にも通じる様な、あの時代特有の薄気味悪さだ。

設定が精神病院なのだが、何もかもが狂って見える。冒頭からギリギリ読めないスタッフ・ロール、ランダムなイメージの短いショットの羅列、踊る人、笑う人。医者や看護師等のまともな筈の人々もまともに見えなくなって来る。
そして仕舞いにはまともな人も狂って行く。

モンタージュってこう言う事か、みたいな極めて基本的な発見は改めて多い。映像技術的にも勉強になる。

クライマックス、娘の結婚式のくだりでの車輪と他の絵の組み合わせに、高畑勲の遺作「かぐや姫の物語」を想起した。

笑顔の仮面はどう言う事だろう。皆が笑顔で固定させられている気持ちの悪さ。
YohTabata田幡庸

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