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深呼吸の必要のryotaのネタバレレビュー・内容・結末

深呼吸の必要(2004年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

見る人にとっては退屈極まりない映画かもしれませんが、私は大好きな映画です。時折、観直して元気をもらえる映画って貴重で、この作品はその一つです。

内容は至ってシンプルです。キビ刈り隊という、内地から沖縄(おそらく宮古島)へネットの募集で集まった人たちが、言ってみればアルバイトで、35日間、サトウキビを狩る話です。男女5人が下宿のように一緒に地元の家に暮らしますが、恋愛のいざこざや大きな事件はほぼ起こらず、ただひたすら毎日きびかりに出かけます。申し訳程度にそれぞれの人物の内地での事情も明かされますが、さして踏み込みません。途中、リーダーのようなフリーターのような先輩が事故に遭いますが、割とすぐに復帰します。ね、退屈でしょ?でも、そこがいいんです。

個人的な話をしますが、私も19歳の時に、同じような経験をしました。私の場合は沖縄ではなく東北で、サトウキビではなく田植えをしてました。たった2週間のことでしたが、今でもその時のことは鮮明に覚えています。こういう体験って、めちゃくちゃ貴重なんだと思います。何がいいかって、劇中でも長澤まさみの台詞にありますが「クタクタになるまで働いて、帰ってきてご飯を食べ、ぐっすり寝る。そうすると次の朝、気持ちよく目が覚めて、また働きに出かける」こんな当たり前のことを実感できるからです。この映画からもその空気感が十分に伝わってくるので、忙しい時や行き詰まったり悩んだりしている時にこの映画を見ると、深呼吸をしたくなって笑、気分がスッキリするんですね。

映画の作りとしてはドキュメンタリーなのか劇映画なのかよくわからない普通の仕掛けで、少しも気を衒わず淡々としています。それがいいのかどうか、映画としての価値としては微妙ですが、私がお勧めしたいのは、こういう体験がもし出来る年齢や状況であれば、絶対に一度はトライすべきだということでした。
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