みのまめ

ティン・トイのみのまめのレビュー・感想・評価

ティン・トイ(1988年製作の映画)
2.9
恐怖の対象として描かれた赤ん坊。
何か意図的にメッセージがあるように感じた。

そもそも映画の中に出てくる赤ん坊に、これまでに嫌悪を抱く者がいただろうか。
温かみと生のエネルギーの象徴である赤子に冷酷さと機械的な挙動の印象を受けた。

映画全体の視点に沿って、玩具を主人公と解釈するなら、赤ん坊は人間によって生み出された暴君。別の場所で生きていたであろう玩具の生活を脅かす存在。
そして玩具は逃げる。逃げることができるのは、これまで自由という概念を見てきたからだ。もっとも、彼らの誕生からこういった構図が出来ていたなら彼らは怯えることはなく、自然とそれに向き合うだろう。

ところで、この世界で最も広く自由を与えられたのは人間だ。もし人間から自由が奪われる日は来るなら…それは、人間自身が築いてきた機械文明の外延化による弊害にあるのだと感じる。もちろん、ここでの赤ん坊は機械文明の象徴だ。

ジョン・ラセターは私たち人間の自由闘争という、幾度となく繰り替えされた避けては通れない轍を新たなフェーズとして見据え、表現したのだと考える。
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