このレビューはネタバレを含みます
金を貯めてここを出なきゃ
白ンボラップは8マイルの向こう側でやれ
工場勤務、自身の同級生に経済・心身を依存する母と幼い妹とトレーラー暮らしをするラビット(エミネム)は、経済破綻したデトロイトで黒人居住区に住んでいる。
この地域は8マイルという大通りを挟んで白人地区、黒人地区と分断されているようです。
黒人地区に住む人々は、金を得て救いの無いこの地区からの脱出を望みとしている。
パッシング映画は通常、黒人が白人として白人社会に生きるものを指しますが、8mileでは白人が黒人のラップ社会でのし上がる様を描いています。
8マイルによって分断される黒人・白人居住区ですが、8マイルを通るバスに乗り込むラビットという恣意的なシーンでは彼こそが越境者である、と明らかにされているようです。
ラストのラップバトルでは、相手が『私立学校出身』であることを観客に暴露し、黒人貧困者が占めるハコを盛り上げます。
人種のカラーラインをラップによって乗り越えたラビット、それ以上に貧富のカラーライン(collar)の分断という存在こそ今日において深刻さを増しているのだ、と示したと思います。
初めはラップを披露するのを躊躇った彼が、修羅場を経て凄みを増す感覚が素晴らしいです。
エミネム自身が貧困層で育ち、黒人に揉まれ育った経験からあの攻撃的なラップが生まれたのだと思うと感慨深い。
エミネム演技は微妙な木がするけど、憎しみに燃える目付きとラップは良かったな〜