暗闇の中で子供

デストラップ・死の罠の暗闇の中で子供のネタバレレビュー・内容・結末

デストラップ・死の罠(1982年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

重畳たるどんでん返しそのものよりも、寧ろそれによって最後まで断続的に高められていく緊張感こそが重要なのであって、諸々の逆転それ自体が陳腐だとか自己目的化しているという批判は的を外しているように思う。そしてこの緊張の果てに必然観る者のうちに生じる予断こそは、虚構が事実を逆手に取り、事実が虚構を逆手に取る筋書きによって、即ち現実と虚構の重ね合わせによって華麗に切り返される。見事な演出と幕切れと言う他ない。と同時に、この緊張=サスペンスは文字通り幕が下りたあとも宙吊りのままになって持続している。しかし宙吊りにされているがゆえに、事実はもはや判然とした形で表に現れ出ることがなく、殆ど虚構に塗れている。だからこそここでは他ならぬ霊媒が、即ち自らを隠れ蓑として心霊を虚構し暗躍する霊媒が――あるいはその霊媒師の虚飾を暴き立てたあのフーディーニのごとく――ひとり虚構から自由に脱け出すことができるのである。
暗闇の中で子供

暗闇の中で子供