秋刀魚の味のたばのレビュー・感想・評価

小津安二郎監督の遺作でありながら圧倒的な完璧主義で構築された傑作。
結婚する気のない娘が嫁に出そうか葛藤する笠智衆演じる父親、同窓会での旧友の立場の変化、息子夫婦の日常などそれらの情景が淡々と描かれており、小津調の演出もあって深遠な世界に浸らせてくれる。その中で静かに湧き上がる敗戦への希望や老人の孤独が内包されている。
岩下志麻の凜とした美しさには心惹かれた。