それについては「語らない」という経路を通してしか、語り得ないことがある。小津安二郎の作品を観るたびに、心と世界とが対峙したときに現れる、その境界線上に立つ人間の姿勢の美しさを僕は思うことになる。
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劇的な演出を忌避しながら、人物や感情が脳裏に焼き付く。そして、みんないい顔をしているから、それだけで見ていて幸福感がある。
完全な構図と有機的に出入りする人物とカット、全てが計算されているのに、少し…
私生活ではまったくしないらしい家事をキビキビとする岩下志麻の路子。小津の世界にいるのがなんだか不思議。
路子は兄の会社の同僚(後輩)に好意があったけど、父がそれを知って結婚を打診した時にはすでに遅…
本作を最後の作品にしようと思って作られたわけではないと思うけど、シナリオ、脚本、演出、撮影、全てにおいて小津安二郎のエッセンスが凝縮された集大成のような作品。
泥酔の姿に哀愁を漂わせる東野英治郎の…
再見。生活とストレス。冷酷な現実として立ち現れる東野英二郎親子。杉村春子の腰に被さる深い影。おー怖い。岩下志麻は感情の表出が殆ど許されず(『晩春』の原節子とは違って)、ロボットのような振る舞いが求め…
>>続きを読む「男の哀愁」
小津安二郎描く父親として男としての哀愁を映し出した作品
娘を嫁に出す父親を中心に据えながら、男が抱く孤独と哀愁を、笠さんの演技で生み出した作品であった。
◆娘の結婚という小津安二…
最近、1960年代の雰囲気が気になっている。子どもの結婚に口を出す親が少なくなった(?)のと同じく、秋刀魚の味を秋の風物として思い起こす人も、今となっては減っているのではなかろうか。内田樹さんが視点…
>>続きを読む©1962松竹株式会社