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秋刀魚の味のゴートのレビュー・感想・評価

秋刀魚の味(1962年製作の映画)
2.0
やがて孤独に暮らすことの寂しさを悟る初老の主人公・平山の、娘の結婚を見送るまでの心の機微を描いた作品。

単調な会話とシーン展開、繰り返される同じようなカット割りがなんとも退屈。

あえて起伏とテンションを抑えて日常レベルのドラマ(までもいかない生活の情景)に徹することで、立ち現れてくる人間の真実もあるのだなと感じる。

人物同士の会話の大半が酒を飲み交わすシーンで構成されており、それを単に表現や技巧の乏しさと捉えてしまうと、なんともつまらない。
しかし、酒を飲んで記憶や言動がおぼつかなくなる、"ひょうたん"というあだ名で呼ばれる中学時代の恩師のキャラの描かれ方を見ると、どうも批判的にあえてそうしたシーンを取り入れているようにも思える。

平山の生き方や周囲の人間との関係をもう少し当時の時代背景と重ねてみることができたなら、作品の理解も深まったのかもしれない。
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