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エディット・ピアフ愛の讃歌のJのレビュー・感想・評価

4.6
・物語★★★★★
・配役★★★★★
・演出★★★★★
・映像★★★
・音楽★★★★★

『マリアンヌ』でのM・コティヤールの演技が素晴らしすぎて、オスカー受賞作である本作を鑑賞。

まさに、稀代の女優の魂をみた。
声色からして凄みがある。

“エディット・ピアフ”本人になりきる姿は、『マリアンヌ』や『マクベス』など、近年の出演作における彼女とは同一人物と思えないほどだった。

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原題は『LA MOME』。
“子スズメ”と名付けられた若き才能が、フランスを代表する国民的シャンソン歌手として羽ばたき、波瀾に満ちた生涯を終えるまでを、その栄光だけでなく数々の悲劇的な出来事を通して描いた本作。

二人の“マルセル”の死が、彼女の人生にとっていかに深い影響を及ぼしたか…考えるだけでも心が痛む。

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映画としての完成度について、特筆すべきはコティヤールの名演だけにとどまらない。
主演女優賞とともにオスカーを受賞したメイクアップ技術が、少女時代から晩年までを一人の女優が演じ切ることに多大な貢献を果たしたことにも注目すべきだ。

演出も素晴らしい。
ピアフの生涯における出来事を、まるでパズルのピースを繋ぎ合わせるかのように、時系列を問わず並べる…これにより、ただでさえドラマティックな生涯を、より一層ドラマティックに魅せることに成功している。
ピアフの生涯についてよく知る者でも、いやむしろ、知らない場合は事前に下調べをしておいた方が、より深く味わえる作品と言えるだろう。

鑑賞後、いつまでも脳裏にこだまする歌声をはじめ、音楽の素晴らしさは言うまでもない。
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