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蟻の兵隊のkajiwaratkのレビュー・感想・評価

蟻の兵隊(2005年製作の映画)
3.7
2014.7.26 DVD
2600人もの日本兵が司令官の命令により終戦後もなお4年にわたり中国に駐留し中国国民党軍の傘下で戦うことを余儀無くされた「中国山西省日本軍残留問題」について取り上げたドキュメンタリー映画。とにかく考えさせられる作品だった。
政府はこの残留兵たちをあくまで自らの意思で残った兵士とし軍の関与を認めず、元残留兵たちによる恩給支給の求めも最高裁で棄却されている。元残留兵で原告の一人でもある奥村氏が主人公。
恩給支給=ポツダム宣言で定めた武装解除に違反した事実を国が公式に認めることになるため勝訴する可能性は薄いと語るも、残り少ない人生のけじめとしてとにかく真実を知りたいと中国に渡る。
話のメインは、大量の部下の残置と引き換えに戦犯の追訴を間逃れ早々に帰国した日本軍将校と国民党軍幹部との密約の証拠を追い求めた旅である。
特に印象的だったのは、自身が初めて一般人を殺めてしまった村へ行き当時を知る人達と会話をする部分で、時折軍人のスイッチが入るところ。宿に帰り反省するこの小さな老人の姿に、私たちには想像できない位深く刻まれた心の傷を感じる。
その後も真実を追い求めた奥村氏だが、この映画が公開された5年後の2011年に亡くなったそうだ。
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