蟻の兵隊の作品情報・感想・評価

蟻の兵隊2005年製作の映画)

製作国:

上映時間:101分

ジャンル:

3.8

監督

出演者

「蟻の兵隊」に投稿された感想・評価

1945年日本はアメリカには負けたが、まだ中国には負けていないと、国民党とともに日本軍として共産党と戦うために、中国山西省に残された日本兵2600人。その内戦で500余名が亡くなり、1949年に帰国。軍司令官の命令で戦ったが、逃亡兵扱いとなり、戦後補償を受けられなかった。裁判では認められず、自主的に残留したことになった。戦争終結後に日本軍として戦っていたことを認めるとポツダム宣言違反となる。再び上告は棄却された。

その中心となる人物、奥村氏が真実を探す旅である。軍司令官が国民党の軍人と交わした日本兵を残留させる密約の証拠を映像記録に残していこうとする。軍司令官は日本兵を置いて帰国した。密約は日本兵を傭兵として提供する代わりに自分の安全を担保し、安全に出国することと言われていた。

少年兵だった奥村氏は度胸試しで少年兵の訓練の一環で中国人を殺させられた。それを妻にも話したことはなかった。中国で取材する中で、日本兵たちから暴力を受け、父親からは日本兵に売られそうになった女性が、奥村氏に「その話はもう奥さんに話せるでしょう。あなたの責任ではない。」と言うと、奥村氏の顔が「赦された」表情に変わっていった。

行く先々での中国人との会話で、日本兵がその地で何をしたかが明らかになっていく。日本兵の手記も残されていた。密約の証拠も。

帰国しても、その密約を知っている唯一の生存者は口を開かない。

奥村氏は言う。
「地獄をみた人は忘れるしかない。私はまだ地獄を知らなかったんだ。だから何があったのかを知りたいし、残さないとならない。時間との戦いだ」

精力的に活動する奥村氏は、靖国神社境内で右翼の集会で演説する小野田寛郎氏に質問し、罵倒される。

質問は「侵略戦争を美化していいのか?」

二十歳の少年兵の見た戦争と陸軍中野学校出身の身分を隠した兵がみた戦争は、なぜそうも違うのだろうか?

⚠️イデオロギーに関しての議論はご遠慮ください。
ひでG

ひでGの感想・評価

3.8
昨年、長野に居た時、オンライン池谷薫監督のドキュメンタリー塾で「先祖になる」を視聴。監督のお話も聴くことができ、
とても勉強になった。

池谷監督のこのドキュメンタリーもその時観たかったのですが、今回、レンタルして視聴。

中国山東省に敗戦後も残留して戦い続けた部隊がいた。

この映画の主役奥村和一さんは、
その残留は、上官の命令で、隊としての行動だったことを帰国後、ずっと訴え続けている。

その奥村さんを追った記録である。

裁判所は、奥村さんらの主張を受け入れず
個人的な残留と、訴えを退けるのだ。

このような事実を全く知りませんでした。

決定的な証拠が見つかっても、奥村さんの運動は進みません。

この作品を観た方の殆どは、あの映画、
あの人を想起するでしょう。

「ゆきゆきて神軍」の奥崎謙三さん、

同じ奥でも、奥村さんは、奥崎さんのような狂乱的、衝動的な行動はとらない。

司法の中で、真実を明らかにしようと正攻法で闘っている。

だからこそ、余計に虚しく、悲しい。

映画公開から数年、奥村さんはこの世を去っているが、
この映画をどう思っているか、映画の後の奥村さんの闘いはどうだったのかを
ぜひ、監督の池谷さんにお聞きしたい。

あんな悲惨な戦争の終結の後にも、まだ
個人より軍隊や体面が重んじられるのか!
この国は!

この作品を調べてるために、
ネットで「残留軍人映画」と検索したら
本作以外に、「ONODA」が出てきた。

残留軍人として、横井庄一さんとともに、最も有名な人、小野田寛郎さん。

実は本作にも、彼が出てくる。

全く意外な、私たちが知っている姿とは
かけ離れた「軍人」として、

日本軍に批判の矛を向ける奥村さんでさえ、ある場面で、「軍人」もしての生々しい姿を見せる。

加害側の奥村さんの証言、
中国の老婆の被害者としての証言

これが戦争だ、、戦争なんだ、、

そこには人間的な事柄なんて一欠片もない

ということをこのドキュメンタリーから
また、改めて感じ取ることができました。
saodake

saodakeの感想・評価

4.0
やっていることはゆきゆきて神軍の奥崎謙三と同じだが、奥村さんの方が圧倒的に理知的なひと。
そんなふうに思っていたらかつての皇軍兵士としての奥村さんが蘇るシーンが…。あそこは怖かった。

かつて日本軍に蹂躙された中国人が快くインタビューを受けてくれるのはなんなんだ。怒りを表す人はいなかったのか。
昔のことでは済まされない事をしたのに。

終盤の靖国神社の場面も印象に残る。
下手くそなラッパの音で行進する日本兵コスプレの右翼たち。もうここから今に至る歴史修正主義は始まっていたことがわかる。
なんといってもルバング島から生還したあの小野田寛郎が本性むき出して怒鳴る貴重な映像!
この人は最後まで皇軍兵士だったんだなぁ。
簡単には計り知れない様々な思いが渦巻いていた。小野田寛郎氏とのシーンは連綿と続く象徴か。
カルビ

カルビの感想・評価

4.2
「今のあなたは悪人には見えない」

日本兵たちによってとんでもなく酷い目にあった中国のお婆さんからこの言葉が出たのには驚いた。
主人公である 奥村さんは直接強姦したわけではないにせよ見張りとして立ってたりと協力をしたようだが…
上官の命令なら立場的に逆らえないよなあ。

日本の義務教育の現場ではこのような内容を全然教えようとしない。
だからこの国では日本軍が正義の軍隊、過去の戦争は聖戦だったと本気で思い込んでる人が沢山いるんだろうな。

まず平和な世の中で自国内ですら性犯罪は毎日起きてるのに何で今より犯罪の多い昭和の世で戦争中の敵国において性犯罪がないと思えるのだろう…
ゆげ

ゆげの感想・評価

4.2
序盤の、靖国神社に初詣に来た娘たちと奥村さんとのやりとりが印象的。
かりん

かりんの感想・評価

4.5
戦争を経験したおじいちゃんが沢山歩いている姿だけで胸が苦しいのに
私は本当の意味での戦争を知らない
だから調べるんです。なんてもう…
やん

やんの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

国家は嘘をつく、個人の尊厳を守る為に立ち上がった老兵の戦いを追ったドキュメンタリー
最後に元戦友の自宅に向かい門前払いされるも、カメラに向かって「私の映画を撮っています」と説明する奥村さんの一言がジーンと響いた。
MGJ

MGJの感想・評価

4.0
ドキュメンタリーのすごいところは、造り手側も予期しえない事実や思いの顕現が起こることなのだろう。

戦争とは言え人を殺したある男、国から見切られ、その行為すらも否定されたことで、過去の輪から抜けられず、責める相手を探し続ける。 

本当に見つけたいのは責める相手ではなく、自らへの赦し、そしてその事実を共有できる相手。

伴侶には語らない心の旅路はどこへ行き着くのかわからない。
戦争経験者の多くは同じように探していたのではないかと、今は亡き寡黙な祖父を思い出す。
腹に抱えた銃弾のことしか戦争について語らなかった、彼のことを。
yuki

yukiの感想・評価

4.0
中国での戦争体験を厳しい加害行為を含め晒してゆく。結構オブラートに包む人が多い中奥村さんは違った。
ゆきゆきて進軍は奥崎さんの激しい性格があって衝撃だったがこの映画は比較的に淡々と語られる。奥崎さんはそれはそれで純粋で誤魔化さず忘れず行動しているのが素晴らしい。
奥村さんは抑えたトーンで事実を明らかにしようと動いてる。私の父も中国に行きその後シベリア抑留だったが家族に語る事はなかった。 
戦争の酷さを教えてくれるいい映画だった。
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