ルネ

どん底のルネのレビュー・感想・評価

どん底(1957年製作の映画)
3.0
1957年(昭和32年)公開。 黒澤監督が47歳、三船敏郎が37歳の時の作品。

マクシム・ゴーリキーの同名戯曲『どん底』が原作。舞台を江戸時代に置き換えて貧しい長屋に住む人々を描いた群像劇。

三船敏郎が出演しながら志村喬が出演していない、唯一の黒澤映画。本来なら志村が演じるべきと思われる原作の巡礼者ルカの役を、左卜全がその特徴的なキャラクターを以て演じており、はまり役となっている。

黒澤作品にしては珍しい短期間・低予算で作られた作品。オープンセットと室内セットをそれぞれ一つ作り、40日間に及ぶ入念なリハーサルを経て、複数のカメラで一気に撮り上げるマルチ・カム方式で撮影された。

愚痴ったり、酒飲んで騒いだり、噂話に花を咲かせたり、喧嘩したり。本当にどうしようもない人々の、グダグダな日常が描かれている。舞台のような雰囲気。

「がんばって働いたって、楽になりなんかしねえよ」、「昔は旗本の家系だったんだ」、「いつか誰かが迎えに来てくれるって夢みてる」など、人生にうんざいするようなセリフが満載。人生の厳しさを手加減抜きで思い知らせてくれます。

山田五十鈴演じる女が怖い。 この人は演技力はすごいが、顔の作りもなんか怖いです。香川京子はキラキラしてました。

みんなで桶とか叩きながら歌うシーンが数回あるのだが、そのグルーヴがすごい。トライバルだし、あれはまぎれもなくダンス・ミュージックだと思う。
ルネ

ルネ