zarije

どん底のzarijeのレビュー・感想・評価

どん底(1957年製作の映画)
4.5
この映画は自分の中では音楽映画です。
どん底に暮らす人々の浅ましい内面を残酷なまでに描き出しつつ、そこには落語的な滑稽さが漂っています。
自身の浅ましさや愚かさを直視していなかったり、あるいはそこから抜け出そうと努力している人間に悲しい結末が用意されていて、むしろそれを諦めたり開き直っているもの達に束の間の享楽が訪れます。本当に束の間ですが、、。
そんな無意味で非生産的で刹那的なものが、あるいは音楽や文化の本質の一つなのかもしれない。
そして意外とそれもありかもねという視点で見てしまうと、
ラストのどんちゃん騒ぎがメインの音楽映画に思えてくるのです。

北野武の座頭市のラストを見た時真っ先にこの映画が連想されて、そちらも好きな映画になりました。
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