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女は夜化粧するのodyssのレビュー・感想・評価

女は夜化粧する(1961年製作の映画)
4.0
【夜の女・山本富士子が見もの】

ナイトクラブのマダム役をやっている山本富士子が見ものの映画です。

建設会社の社長から美貌と手腕を見込まれて、新しくできたビル内のナイトクラブを経営する。むろん自分がマダムとして毎晩着物を替えながら、訪れてくる社長だの重役だのの接待をして店を繁盛させます。また店にはバンドを入れて、音楽やエンタメ面でも斬新な工夫がなされている。美人でやり手という役柄が、夜ごとに別の和服を着る山本富士子の美しさと相乗作用を生み、また筋書きの進行もよどみなく的確で、非常に見応えのある作品になっています。

無論、細腕繁盛記だけではありません。彼女は両親を早くに失っていて、今は自分の稼ぎで弟を大学にやっているという一面がある。また、以前ちょっとした偶然で知り合った作曲家の卵である青年(川口浩)がパリ留学から帰ってきて凱旋公演をやったあと再会し、そのまま深い仲になってしまうという事件が起こります。

青年は彼女と離れたくないため、せっかくの将来性を犠牲にしかけてしまう。また、マダムに特定の恋人がいるとなると、お店の経営にも悪影響が。二人の恋はそのような芳しからざる結果を生むので、それを解決するには・・・・というふうに話は進みます。

夜の女としての魅力を存分に出している山本富士子。こういう役がうまく演じられるからこそ美人女優は存在価値があるわけで、単なるアイドルでは無理。今どきなら誰かこういう役をできる女優がいるかなあ、などと考えてしまいました。
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