Enough

リトル・チルドレンのEnoughのネタバレレビュー・内容・結末

リトル・チルドレン(2006年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

人はいつから「大人」になるのだろう。18歳で、すでに達観しているような人もいるし、40歳、50歳になっても「子供っぽい」と思われる人もいる。その違いはなんなのか。「リトル・チルドレン」はその問いに一つの答えを示してくれる。

エリートビジネスマンでありながら、ネットで見つけた若い女の下着でマスターベーションをするリチャードを夫に持つサラ。ドキュメンタリー作家として成功して多忙を極める妻を持つブラッド。性犯罪で服役し、家以外どこにも居場所がないロニー。そんなロニーを追い詰めることだけに自分の居場所を感じるラリー。

彼らはいい大人と言っても差し支えない年齢だが、心の穴が埋まらず、精神はずっと未熟のままだ。自分を見て欲しい、受け入れて欲しいという欲に囚われている。

承認欲求は人であれば誰でも持つものだ。しかし、それが適切な形で満たされて成長しないと、人は心が大人にならぬまま、体だけが大人になってしまう。

だから、その穴を埋めるためにサラとブラッドは不倫をし、ラリーはロニーを追い詰める。しかし、自分の方だけを見て欲しいという願望は、いつまで経っても満たされることはない。だから、見てくれないことがわかった瞬間、その気持ちは呪いに変わる。

では、その呪いを解くためにはどうしたらいいのか。結局、自分が与える側にならないといけないのだ。そしてそれに気づいた時、彼らは子供を辞めて、大人になっていく。

映画のラストシーンでナレーションが語るように、過去は変えられないが、未来は変えられる。いつだって人は大人になれるし、そこからいくらでも人生を歩み直すことができるのだ。
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