マカロニの食感

わらの犬のマカロニの食感のレビュー・感想・評価

わらの犬(1971年製作の映画)
4.7
インテリで平和主義者のダスティ・ホフマンが後半20分で暴力衝動に駆られ、何人も殺してしまったシーンでは、大人しい人が吹っ切れると考えられないほど恐ろしい事をするのだと改めて感じた。

その暴力衝動に駆られるシーンでは、爆音で流れるレコードや、独特の笑い声を持った人などによって、暴力衝動が加速する様子は極めて繊細に撮られていたと思う。

しかし、その暴力シーンでは、前半のダスティ・ホフマンが過酷な虐めにあっている奴らに吹っ切れるシーンだったことから、恐ろしさとともに爽快感も同時に感じることができた。

ラストシーンの「帰り道がわからない」「僕もだ」とダスティ・ホフマンが吹っ切れて清々しい顔をして発した言葉を聞き、この後のダスティ・ホフマンの行方や生き方が気になってしまう終わり方だった。

とにかく、人間が暴力衝動に駆られるのは生まれ持った性質のようなもので、どんなに平和主義者で「暴力は嫌いだ」と述べていても、暴力とは切っても切れない関係なのだと最後に思った。